「愛犬のヒゲはトリミングサロンでカットしている」というオーナー様もいらっしゃるかもしれません。カットするとすっきりとおしゃれな感じになりますよね。ほとんどの場合、問題はありませんが、犬の状況によってはヒゲを残しておいた方がよさそうです。
例えば視力の落ちた犬。暗闇では、犬はヒゲを周囲の壁などに当てながら安全を確認します。ヒゲが周囲に触れることで、障害物にぶつかるなどのトラブルを防ぐことが可能です。目がよく見えない犬は、いつも暗闇の中を歩いているのと同じ。ヒゲを残す方が安心です。
またパグやフレンドブルドッグなど短頭種以外の犬種では、鼻は先に出ています。そのため口の下に何があるかがわかりません。そんなときにも役立つのがヒゲです。視力が落ちていてもヒゲがあれば「顔の周りに何があるのかな?」と確かめることが可能になります。
次にヒゲを残してあげたいのが高齢に差しかかった愛犬。シニア犬は、嗅覚や聴覚など感覚器官がだんだん衰えてきます。そうなると周囲の状況がわかりにくくなり、不安を覚えるようになってしまいます。そういった機能の低下を補ってくれるのもヒゲです。自分の顔の周囲に何があるかを察知し、家具などにぶつからないようにすることが可能になります。
犬のヒゲよりも長く、数が多いように見えます。実際猫のヒゲは、犬よりも役割が多いようです。猫のヒゲは、大変重要な「触覚」としての役割を持っています。「猫のヒゲは切ってはいけない」という話を聞いたことがあるかもしれません。毛の根元には神経や血管が通っているため大変敏感です。強い痛みを感じるので、引っ張らないようにしてくださいね。
猫のヒゲはほんのわずかな風、空気の流れもキャッチすることができるほど敏感なセンサー。夜、電気を消した家の中でキャットタワーに上ったり、狭い場所を歩いたりできるのは、ヒゲからの情報があるから。多頭飼いの愛猫たちが、夜中に大運動会を始めてもお互いがぶつからず走り回れるのも、ヒゲで情報を得ることができるからです。
夜中に外に出てしまった愛猫が、思いがけない「おみやげ」を口にくわえて帰り、びっくりされた経験のあるオーナー様もいらっしゃるかもしれません。暗闇の中にいる獲物のわずかな動きも、猫のヒゲはキャッチすることができます。獲物を口にくわえるときは、ヒゲを下げています。そうすることで、獲物の急所も察知することができるのです。
「猫は顔がすり抜ける場所は、体もすり抜けることができる」と聞いたことがあるかもしれません。これはヒゲで通れるかどうかを確認しているから。狭い空間を通ろうとしたとき、猫はヒゲを広げています。ヒゲが壁などに触れた場合は、その場所は通らないはずです。もし観察するチャンスがあったら見てみてください。
さらに猫のヒゲは感情を表現することもあります。「あれはなんだろう?」と興味にかられた愛猫のヒゲは前方に向いているはずです。また「誰か来た、怖い」「強い猫が庭にいる!嫌だ!」という場合は、ヒゲは顏にぴったりくっつきます。のんびりリラックスしている場合は、ほんの少し下に向いている状態です。
「うちの子はなんとなく感情がわかりにくい」と思っているオーナー様は、ぜひ愛猫のヒゲの動きをチェックしてみてください。
愛犬・愛猫とも、何もしていないのにヒゲがたくさん抜けてきた、という場合は、皮膚病など何らかのトラブルが生じている可能性があります。動物病院を受診してくださいね。
ただし、1,2本なら特に問題はありません。もし愛猫の落ちているヒゲを見つけたらかなりラッキー。猫のヒゲは、実は「お守り」になると言われていて、金運がアップするとか。猫のヒゲを保存するケースも販売されているので、捨てずにとっておくといいことがあるかもしれません。
愛犬・愛猫とも特別なヒゲのお手入れは必要ありませんが、食べかすや汚れがついていたら、そっと拭いてあげましょう。愛犬・愛猫のヒゲセンサーが何をキャッチしているか、ときどき観察するのも楽しいですね。