「避難所で愛犬・愛猫が体調を崩した」「初めての動物病院を受診する、預けることになった」など、災害時は「普段と違う」ことが生じる可能性が高くなります。そのとき健康手帳があれば、カルテがなくてもかかりつけの先生と連絡が取れなくても、獣医さんは愛犬・愛猫のことを把握しやすくなります。
ワンちゃんネコちゃん名前、生年月日(家に来た日)、性別、品種、体重、去勢避妊歴などに加え、オーナー様の名前、住所など基本的なデータを書き込みます。
ワクチン歴やノミ・ダニ予防歴、受診歴のほかに、処方された薬なども記録してあれば安心です。普段から健康手帳があれば災害だけでなく「いつも梅雨の時期に食欲が低下する」「冬は食べすぎてしまう」などが予測できて健康管理がしやすいのも大きなメリット。
健康手帳はネットでもダウンロードできます。動物病院でも配布している場合があるので、聞いてみましょう。
もちろん一般の手帳やノートを健康手帳にしてもかまいません。しまう場所は、「避難時に持ち出す鞄の中」と決めておきましょう。チャック付きのビニール袋に入れておくと、水に濡れる心配がありません。
「うちの愛犬・愛猫の写真なら撮っています」とおっしゃると思います。スマートフォンやタブレットの写真フォルダにはたくさんのかわいい写真があるのではないでしょうか。かわいい写真にプラスして、災害に備えた写真も撮影しておきましょう。
災害対策としておすすめの撮影は2点。1つ目は「あらゆる方向から撮影する」ことです。背後から、上からなど様々な方向から撮っておきましょう。特に特徴的な模様がある場合は必ず撮影します。
災害が起きて万が一愛犬・愛猫とはぐれ日数が経ってしまった場合、その間にやせたり汚れたりして風貌が変わってしまうことがあるのです。再会したときうちの子だという確信を持つために、さまざまな方向から撮った写真が役に立ちます。
2つ目は「オーナー様と一緒の写真を撮る」こと。はぐれて保護されたとき「うちのコ」だという証拠になります。ご家族皆さんと撮っておくことも大切です。
災害時は、スマートフォンなどが電池切れになっていることもあるため、プリントアウトして健康手帳に貼っておきましょう。
災害時は「自助・共助・公助」といわれています。自助とは、災害発生時まずは自分で備え自分の身を守ること、「共助」は、近所など地域の人達で助け合うこと、「公助」は消防や警察、自治体など公的機関の救援です。
公助は大きな災害ではなかなか人手が足りないこともあります。自分たちで備える「自助」はもちろん、近所の人との助け合う「共助」が必要です。
そのためにも地域に住む飼い主さん同士のネットワークを作りたいもの。ネットワーク作りといっても何か会を立ち上げましょうという大げさなものではありません。飼い主さん同士が「知り合い」になっておくことだけでも効果的です。
ワンちゃんは散歩があるので、比較的知り合いになりやすいでしょう。散歩のときちょっとあいさつをしておく、それだけでもいいのです。公園で出会ったら声をかけて顔見知りになっておくことが大切です。「防災グッズ揃えている?」など公園で立ち話するのもいいですね。
いざというときワンちゃんの飼い主さん同士が知り合いなら、「避難所に○○さんが来ていないから、様子を見に行こう」とか、「このワンちゃんは○○さんのうちの子」と保護してもらえる可能性が高まります。
ネコちゃんは散歩に行かないことがほとんどなので、飼い主さん同士が知り合うことがなかなか難しい面もあります。ペット共生住宅や集合住宅なら、住民同士声をかけてみましょう。ネットでSNSを使うのも手です。玄関に「猫がいます」シールを貼っておいてもいいでしょう。
自治体によっては、ペットも参加できる防災訓練をおこなうところもあります。訓練ができるうえ、地域の飼い主さんと知り合うチャンスです。積極的に参加しましょう。
災害はいつ起こるかわかりません。災害が発生するとどうしても人間が優先されるため、ペットの支援はどうしても遅れがちです。ワンちゃんネコちゃんの飼い主さんは、しっかり備えておくことが大切です。フードや水、ペットシーツやウエットティッシュなどは定期的に確認しておきましょう。
そして愛犬・愛猫の写真撮影、健康手帳作り、地域のネットワーク作りもおこなっておく。これでかなり心強くなるはずです。愛犬・愛猫を守るためにもぜひやってみてください。