犬や猫がしきりに口をクチャクチャしている時は、口の中に何らかの違和感があるか、吐き気がある時です。
口腔内の異常としては、歯肉炎や口内炎、歯周病がある、歯が抜けかけている、口の中に異物(毛や食べ物など)が引っ掛かっている、口の中に腫瘤などができているなどという場合があります。
歯の病気や腫瘍などでは、涎に血が混じることもあります。
口に違和感があるために、前足でしきりに顔を掻くしぐさも見られることがあり、そのような場合は涎で前足がビチョビチョに濡れています。
吐き気があってクチャクチャしている時には、食欲が落ち、涎を垂らしたり、実際に嘔吐したりします。
吐き気は腎臓病や肝臓病、膵炎、胃腸炎など様々な病気でみられる非特異的な症状です。
クチャクチャする様子が続いている場合には、一度病院で口腔内のチェックと全身の健康診断をしてもらいましょう。
頭を激しく振ったり、耳をしきりに掻いている時には、耳の痒みがある可能性があります。
よく見られる原因としては外耳炎、耳ダニなどですが、中には耳の中に異物が入っている場合もあります。
あまりに激しく耳を掻いたり振ったりしていると、耳の皮膚と軟骨の間で出血を起こし、耳血腫に発展してしまいます。
耳を気にしている様子が見られたら早めに病院へ連れて行きましょう。
水をがぶがぶ飲むときは、内臓疾患やホルモン疾患の可能性があります。
飲水量が増える疾患には以下のようなものがあります。
・腎臓病
・糖尿病
・副腎皮質機能亢進症
・子宮蓄膿症
・尿崩症 など
しかし、夏の暑い時期や運動直後、冬のストーブで部屋が暑い・乾燥している場合など、環境の状態によっても飲水量は増えます。
やたらたくさん水を飲むな、と感じたら、一度飲水量を図ってみましょう。
体重1kg当たり100ml以上飲んでいるようであれば明らかに異常ですので、一度病院を受診したほうがいいでしょう。
また、病的な飲水量の増加では尿にも変化が出ます。
薄い水のような尿をたくさんする、トイレに間に合わずに失禁するなどといった変化が見られることが多くなりますので、受診する際にはできれば尿を持参して、一緒に検査してもらいましょう。
犬や猫がお尻の穴を床にこすりつけながら歩く様子を見たことがあるでしょうか?
初めて見る方にはなんだか面白おかしく感じられる行動ですが、これは実は病気のサインなのです。
原因の一つは『肛門嚢炎』です。
お尻の穴の両横(4時と8時の方向)には、肛門嚢という分泌物をためる袋があり、肛門に向かって細い管を伸ばして開口しています。
そこからは排便とともに臭いの強い液体がじわじわと排出されているのですが、肛門嚢で細菌感染を起こしたり、肛門嚢の管が詰まってしまうと肛門嚢に炎症が起こり、中に膿汁が貯留したり、重度の場合は破裂してしまうことがあります。
肛門嚢とは別に、肛門周囲腺という皮脂腺が肛門周囲の皮膚に存在しています。
『肛門周囲腺炎』が起こっている場合にも肛門周囲の皮膚が痒く、こすって歩くことがあります。
もう一つは寄生虫感染です。
消化管内に回虫やサナダムシなどの寄生虫が存在すると、肛門付近がむずむずとかゆくなりこすりつけることもあります。
お尻をこする様子が見られたら、まずは病院で肛門周囲のチェックをしてもらい、問題なければ便検査も行いましょう。
小型犬に割と多くみられる印象がありますが、お散歩中や小走りになった時に急に片足を挙げて、スキップするように歩くことがあります。
これも見方によってはかわいらしい動作ですが、実は膝に問題があるときのサインなのです。
膝関節は大腿骨と下腿骨(脛骨)をつなぐ関節で、股関節や肩関節のように骨の形状である程度支持される関節ではなく、たくさんの靱帯や筋肉などの関節支持組織によって支えられている関節です。
その靱帯の一つを橋渡しする役割を持つのが膝蓋骨という小さな骨、いわゆる膝のお皿です。
この膝蓋骨は正常な状態では大腿骨の下端にある溝にはまっているのですが、先天的に溝が浅い、あるいは何らかの強い力がかかった際に溝が削れるなどして、膝蓋骨が本来の位置からずれて脱臼してしまうことがあります。
膝蓋骨が脱臼すると足を挙げて片足でケンケンして歩き、そうしている内に膝蓋骨が元の位置に戻るとまた着地するため、スキップするような歩き方になるのです。
手術が治療適応になる場合も多い疾患であるため、一度病院で診察を受けましょう。
犬でも猫でも、陰部を気にしてしきりに舐める様子が見られることがあります。
排尿直後などに一過性にする程度であれば問題ありませんが、執拗になめている場合には注意が必要です。
陰部を気にする場合には、排尿がうまくできない、残尿感がある、包皮炎を起こしている(オスの場合)、子宮からオリモノが出ている(メスの場合)などが考えられます。
特にオス猫の場合、ざらざらした突起のある舌でペニスを舐め続けていると、粘膜を損傷して二次的な排尿障害につながりかねません。
このようなしぐさが見られたら、排尿量や血尿の有無、尿の臭いの変化、排尿回数の増加など尿の状態をチェックし、未避妊の雌ではオリモノが出ていないかどうかなど確認したうえで病院を受診しましょう。
このように、動物のしぐさには病気のサインがいろいろ隠されています。
普段見ている何気ないしぐさも、実は病気のサインかもしれません。
気になったら遠慮せずかかりつけの病院に相談してみましょう。