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ペットフード/ペットマナー検定
北村満保
猫の歴史を辿る。ミアキスから進化し、受難の時代を生き延びた猫たち

猫の祖先は犬と同じだった

猫の祖先とされているミアキスは、現代のテンやイタチに似た体長30cmほどの肉食哺乳類で、5000万年ほど前の北米大陸やユーラシア大陸に生息していました。

当時、地上は別の肉食動物がいたため、ミアキスは木の上で暮らしていました。ミアキスは樹上生活に適応するため出し入れ可能な爪を持っていたと言われています。食事は、おもに爬虫類や鳥類、ネズミに似た小動物などを獲物にしていました。

そんなミアキスですが、実は犬の祖先でもあるのです。ほかにも、ハイエナ、クマ、セイウチ、アザラシといったさまざまな肉食動物の祖先でもあります。

そのため、ラテン語で「動物の母」を意味するミアキスという名があたえられたのです。

犬と猫はなぜ違う進化をしたのか

生存競争が激しくなったミアキスたちの一部は、森の中から草原に進出しました。

草原に進出したミアキスたちは、見晴らしが良くて隠れる場所がないため、単独で暮らすよりも群れをつくり、チームで狩りをすることを選んだのです。さらに、敵を威嚇するために吠える能力を身に付けました。一方で、出し入れ可能な爪が必要なくなったのでした。

一方、森に残ったミアキスたちは、より森の暮らしに適した体へと進化していきました。

敵から身を隠したり、獲物を待ち伏せして飛びかかったりするのにちょうどいいように、俊敏性や瞬発力を身に付けたのです。さらに、樹上生活に適応し、落ちても怪我をしにくいしなやかな体を手に入れたのでした。

つまり、草原に進出したミアキスは「犬」へ、森に残ったミアキスは「猫」へと進化していったのです。

猫はなぜイエネコになったのか

イエネコの直接の祖先と言われているリビアヤマネコが生息していたのは中東からエジプトにかけての地域でした。

その中東で興ったのがメソポタミア文明です。メソポタミア文明は現在のトルコ、シリア、イラクをまたいでペルシア湾に流れるティグリス川とユーフラテス川の流域で生まれました。

ここで農耕が盛んになると貯蔵した穀物をねらってネズミがやってきたのでした。そのネズミを獲物とするリビアヤマネコが人間社会に入り込んできたというのがはじまりのようです。

リビアヤマネコは比較的人間になつきやすいこともあって、人間社会で暮らすうちにさらに穏やかな性格に変わっていき、イエネコになったと考えられています。

ところで、猫がいつから人に飼われるようになったのかははっきりしていません。以前は4000年ほど前の古代エジプトと考えられていましたが、実際はもっと古かったようです。

というのも、9500年ほど前の遺跡から30代男性とともに子猫が埋葬された墓がキプロス島で見つかっているのです。

キプロス島は猫が自力でたどり着くとは考えにくいので、人間が持ち込んだ可能性が高いです。つまり、9500年ほど前には、すでに猫を飼っていたと考えて良いでしょう。

猫の受難の時代

歴史を紐解くと、猫はいろいろと不幸な目に遭っているのがわかります。

15世紀から18世紀にかけてのヨーロッパで吹き荒れた魔女狩りでは、とばっちりとしか思えないような迫害を受けました。

もともと犬のような従順さを持ち合わせていない猫に対して、ヨーロッパの人たちは魔力を持つと考えました。特に黒猫は毛色が闇の色であるとされ、魔女の使い魔として多くが処刑されたのです。

さらに、ヨーロッパから遠く離れた日本でも猫は迫害されていました。

自由奔放で勝手気ままな猫は怠け者、外面だけは良いというイメージで語られ、従順で忠実な犬よりも下に見られていたのです。

そんな犬優位の風潮をくつがえしたのが細菌学者のコッホの発言でした。コッホは、ペスト対策として、猫が有効だと主張したのです。彼の主張を受け、内務省と警察が猫の飼育を奨励しました。

ところが、その直後に猫イラズが登場し、猫の手を借りなくてもネズミを駆除できるようになったのです。つまり、殺鼠剤のせいで猫は役立たず扱いをされてしまったのでした。

そのうえ、三味線のために皮をとられ、第二次世界大戦中は軍用毛皮として供出され、戦後は食料難から食肉にもされたというのですから、不遇としか言いようがありません。

猫はいつ、どうやって日本にやってきた

ところで、猫はいつごろ日本に来たのでしょうか?

以前は奈良時代(西暦710〜794年)や平安時代(794〜1185年)に中国から連れてきたのだろうと考えられていました。

ところが、2007年に姫路市の見野古墳群で、6〜7世紀に作られたと見られる須恵器に猫のものらしい足跡がついているのが発見されました。

その後、2018年には福井県美浜町で同じように猫と思われる足跡つきの須恵器片が発見されたのです。これにより、従来考えられていたよりも、ずっと前から日本に猫がいたことが明らかになりました。

ところが、発見はまだ続きました。

2012年長崎県壱岐島のカラカミ遺跡から猫の骨が出土したのです。放射性炭素による年代測定で紀元前2世紀ごろの弥生時代のものと判明しました。

このように、歴史は何度も塗り替えられています。そのため、いまだに猫がいつ日本にやってきたのか、はっきりとしたところは明らかになっていないのです。

まとめ

猫の祖先であるミアキスは5000万年ほどの年月をかけて、愛玩動物としてのかっこたる地位を手に入れました。しかし、ここに至るまでの彼らの歴史は決して平坦な道のりではありませんでした。猫は、魔女狩りのとばっちりで処刑されるなど幾多の受難を乗り越えてきたのです。

そんな猫たちの未来が明るいものであることを願わずにはいられません。

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