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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の膀胱結石とは

結石の物理的な刺激によって膀胱炎症状を示します。

膀胱の中に石ができることによって血尿や頻尿、排尿困難などの膀胱炎症状を示す病気です。

猫の膀胱結石ではストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石の発生が多くみられます。
結晶尿の段階で診断・治療されることが多いのですが、結石ができてしまった場合や多量の結晶が一度に尿道に流れ込んだ場合に、尿道閉塞をおこす危険もあるため、注意が必要です。

猫の膀胱結石の症状とは

膀胱炎症状が現れます。

膀胱は腎臓で作られた尿を一時的にためておく臓器です。
尿をためるためには風船のように伸展性がある程度必要ですが、炎症を起こした膀胱は伸びることができなくなります。

膀胱内に結石ができると、膀胱粘膜に慢性的に物理的な刺激があることで膀胱炎をおこし、以下のような症状がみられます。
・頻尿
・血尿
・排尿痛
・排尿困難
・排尿の失敗(トイレ以外の場所での排尿)
・尿の臭いがきつくなる

膀胱が炎症で硬くなるために、少量尿が溜まっただけでも排尿の刺激が起こり、頻繁にトイレに入っては尿が出ないのにいつまでも排尿姿勢をとる、という行動がみられます。

また、排尿痛によってトイレの中で鳴いたり、膀胱炎のストレスによって食欲や元気がなくなってしまいます。

猫の膀胱結石の原因とは

細菌感染によっておこります。

尿に細菌感染があると膀胱結石ができやすくなります。
尿中の菌は、尿素を結石の成分の一つであるアンモニアに変換します。
さらに感染による膀胱炎をおこし、炎症によって剥がれた粘膜の組織は結石の核になってしまうのです。

尿の性質の変化が原因になります。

一般的なフードを食べているのに、猫の体質によって尿がアルカリ性や酸性に傾きがちになりやすい場合があり、それによって結石ができてしまうことがあります。

また、特定のミネラル分を多く含むサプリメントの過剰摂取などが原因のこともあります。

他には、門脈シャントという病気や肝臓の機能に問題がある場合には、尿にアンモニアが出やすくなり、尿酸アンモニウム結石ができてしまうことがあります。

水分摂取量が少ないことによってもおこります。

尿の量や濃さは、水分の摂取量によって変わります。
水分摂取が少ないことによって尿量が減ると、尿中の成分が濃くなり、結晶や結石ができやすい状態になってしまいます。

気候の安定している時期や暑い夏は割と猫自身が飲水することが多いのですが、寒くなり始めの秋から冬にかけて飲水量が減り、結晶尿や結石の発生が増えます。

猫の膀胱結石の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

尿石症はアメリカンショートヘアやスコティッシュフォールド、ヒマラヤンなどでの発生が多くみられます。
また、発生頻度は低いですが、シャムではシスチン結石ができることがあります。

猫の膀胱結石の予防方法について

十分な水分摂取を促しましょう。

尿が濃くなることによって結晶や結石ができやすくなるため、水分補給を十分できるようにしておきましょう。

猫には、ぬるま湯が好き、流水が好き、汲みたての水しか飲まない、など水の好みがある場合があります。
そのような場合は少し猫のわがままにお付き合いして、好きな水をたっぷり飲めるように用意してあげましょう。

それでも飲水量が少ない場合には、ウェットフードを併用したり、ドライフードをふやかしてあげる(猫はあまり好みません)という方法もあります。

肥満の猫では活動性が低下するために、水分摂取やトイレへ行く回数が減り、尿石症や膀胱結石になりやすいという報告もありますので、肥満にならないようにも気をつけましょう。

尿石症対応のフードで予防できます。

体質によって結晶尿や結石ができやすい場合には、食事内容を変更する必要があります。
結晶や結石の種類によって選択するフードが異なりますので、動物病院で相談しましょう。

排尿状態に気を付けましょう。

結石ができる前には、尿に石になる前の段階の結晶がみられる時期があります。
結晶尿でも程度に差はありますが、頻尿や血尿などが見られることがありますので、この段階で発見できれば手術が必要になるような事態は回避できます。

普段から排尿状態に気を付け、頻尿や血尿、尿量や尿臭の変化があった場合には尿検査を受けることで、早期発見に努めましょう。

トイレが不衛生な状態だと、猫はトイレに入るのを嫌がります。
トイレを常に清潔に保つことも心がけましょう。

猫の膀胱結石の治療方法について

結石の種類によっては内科療法で溶解できるものがあります。

結石の種類によっては、内科療法で溶解することができます。
結石の種類は既往歴や、尿検査を行い、尿のpHや結晶の有無などを参考にして推定されます。

溶解できる代表的な結石はストルバイト結石です。
ストルバイト結石は、尿路感染症や食事内容によって尿がアルカリ性に傾いている場合に発生しやすい結石です。
適切な抗生物質で細菌感染を抑え、食事内容を変更することにより尿のpHを酸性に傾けることで、結石は徐々に小さくなり、消失します。

他にもシスチン結石や尿酸アンモニウム結石は、食事療法と薬剤の投与によって溶解できます。

しかし、結石溶解療法を行っている間は、小さくなった結石が尿道閉塞の原因となることがあるため、排尿状態に注意が必要です。

溶けない石や症状が重度の場合は外科手術が必要です。

シュウ酸カルシウム結石は、食事療法や内服薬で溶かすことはできないため、手術で結石を摘出することが必要になります。
特にシュウ酸カルシウム結石は、表面が金平糖の様に凸凹しているという形状の特徴から膀胱炎症状が強く出ることが多いため、あまり様子を見ずに早目に摘出する方が良いでしょう。

また、溶解療法が可能な石であっても、結石が非常に大きい場合や膀胱炎症状が重度の場合、排尿困難がみられる場合には手術を選択することもあります。

結石を除去した後は再発予防を心がけましょう。

結石を内科的・あるいは外科的に除去できた後は、再発を予防するために食事療法や内服薬の投与をします。

尿が酸性やアルカリ性に極端に傾いてしまうと、結石ができやすくなってしまうため、食事療法をしていても体質的に酸性尿、アルカリ尿になりやすい子の場合は、生涯投薬が必要となることもあります。

内科疾患が原因で結石ができてしまう場合には、原因疾患をしっかり治療することが必要です。

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