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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の股関節形成不全とは

股関節のくぼみが浅いために変形性関節症や脱臼を起こしやすい状態です。

股関節は大腿骨の付け根の球状の骨(大腿骨頭)が骨盤のくぼみ(寛骨臼)にしっかりとはまることによって形成されています。
股関節形成不全では骨盤のくぼみが浅いために十分な深さの関節が形成されず、不安定になることによって関節に慢性的な負担がかかり、関節炎や痛み、股関節脱臼などを起こしてしまいます。

犬では割とよく知られている異常ですが、猫ではあまり多くは見られません。
しかし、症状が軽くわかりにくいだけで、潜在的に股関節が浅い猫は実はたくさんいるとも言われています。
症状は通常両側にみられ、運動をしたがらない、歩き方がぎこちないといった歩行の異常がみられます。

股関節形成不全の猫は、進行すると重度の変形性関節症や股関節脱臼を起こすことがあるため、注意が必要です。
犬では股関節を安定化させるような手術を行うこともありますが、体の小さな猫では同様の手術は難しく、脱臼してしまった場合に大腿骨頭を切除する手術をすることが多い病気です。

猫の股関節形成不全の症状とは

後ろ足の動きに異常が出ます。

股関節形成不全があると、股関節が不安定なために、歩き方や運動に支障が出て動きたがらなくなります。

特徴的な症状は以下の通りです。
・歩き方がぎこちない
・うさぎ跳びのように歩く
・腰を振るように歩く(モンローウォーク)
・運動を嫌がる
・段差の上り下りやジャンプをしなくなる
・座るときに後ろ足をうまく折りたためない(横座りをする)
・股関節脱臼

症状は多くは成長期からみられます。
股関節形成不全があると、関節が不安定なために関節炎が起こりやすく、痛みが出ると運動を嫌がるようになります。
関節炎が慢性化すると、滑らかであるはずの関節面に骨増生が起こり凸凹してしまうため、関節が滑らかに動かなくなり、ぎこちない歩き方になったり、変形した骨によってさらに関節が浅くなり、脱臼してしまうこともあります。

猫の股関節形成不全の原因とは

遺伝が関与しています。

メインクーン、ペルシャ、デボンレックス、ヒマラヤンは遺伝的に股関節形成不全が起こりやすいとされています。

成長期の肥満や過度な運動が原因となることもあります。

成長期には骨が急速に成長します。
この時期に肥満になったり、激しい運動を過度に行うことによって関節に負担がかかり、股関節形成不全を引き起こしてしまう場合もあります。

猫の股関節形成不全の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

これらの品種では遺伝性に股関節形成不全がみられることがあります。
性別による発生の差はないとされています。

猫の股関節形成不全の予防方法について

肥満を予防し、運動は過激になり過ぎないようにしましょう。

成長期は骨が伸び、それに伴って骨を支える筋肉も発達していきます。
この時期に肥満状態になり関節に負担をかけると発症しやすくなるので、太らせないようにすることを心がけましょう。
また、適度に運動することはいいことなのですが、激しい運動で負担をかけることは控えましょう。

床で滑らないように対策をとりましょう。

床で滑ってしまうような状況が多いのも関節への負担を増やします。
フローリングには滑りにくいように敷材を敷いたり、長毛種で肉球の間に長い毛が生える場合には定期的にカットしましょう。
爪が伸びて丸まっているのも滑る原因となりますので、こまめに爪を切りましょう。

早期診断でリスクを回避しましょう。

遺伝的に起こる場合は予防は難しいところですが、上記のような体重管理・生活環境整備によって発症リスクは下げることができるかもしれません。
成長期に歩行に異常が見られたら、レントゲン検査をしてもらい、早期に診断しておくことで進行を抑制できます。

猫の股関節形成不全の治療方法について

若齢で症状が軽度の場合には経過観察を行います。

痛みの症状が軽度で、時々歩き方に異常がみられるという場合は、激しい運動を控え、安静にして経過観察を行いながら、股関節や筋肉がしっかり成長するのを待ちます。
肥満傾向であれば適正体重までダイエットを行うことで関節への負担を減らします。

関節炎が起こり、痛みの症状が出ている場合には消炎治療を行います。

対症療法として消炎鎮痛鎖剤を投与し、関節軟骨保護成分を補給する治療を行い、症状を軽減する治療を行います。
理学療法としてレーザー治療などを行うこともあります。

外科手術が必要な場合もあります。

関節炎が重度で歩行に支障が出ている場合や、股関節が脱臼してしまう場合には、大腿骨頭切除術を行います。
犬では股関節を安定させるために、関節の状況や発症年齢に対応した手術がいくつかあります(骨盤三点骨切り術、恥骨筋切除術、股関節全置換術など)が、猫では同様の手術は難しいのが現状です。

大腿骨頭切除術は、関節炎で変形した大腿骨頭を切除することで寛骨臼との接触をなくし、痛みをとる目的で行います。
術後は周囲の筋肉の支えによって2~3カ月で元の様に歩けるようになることが多いですが、少しびっこを引くような歩き方が残る場合もあります。

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