ウィズぺティ
初めての方へ会員登録ログイン買い物かご
TOP > 猫の病気辞典 > 猫の注射部位肉腫(ワクチン関連性肉腫)
Youtube 病気辞典
Youtube 病気辞典

執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の注射部位肉腫(ワクチン関連性肉腫)とは

注射部位に起こる悪性腫瘍です。

背中や四肢の付け根など、注射をよくする部位に発生する悪性腫瘍です。
以前はワクチン接種後に起こる腫瘍として「ワクチン関連性肉腫」と呼ばれていましたが、今ではワクチンだけでなくどんな注射であっても起こる可能性があるということがわかっています。

腫瘍の種類はいくつかありますが、最も多いのは線維肉腫という悪性腫瘍で、皮下組織だけでなくその周囲の筋肉や骨にまで浸潤することがある厄介な腫瘍です。
進行すると肺などに転移することがある他、手術をしても再発することが多く、発生してしまったらできるだけ早期にできるだけ大きく切除しないと、治療が困難になります。

猫の注射部位肉腫(ワクチン関連性肉腫)の症状とは

注射部位にしこりができます。

初期は注射部位にしこりが触知されるだけで、痛みなどの症状はありません。

線維肉腫の場合は割と進行が速く、腫瘤が大きくなるとともに皮下組織から筋肉や骨に浸潤して、貼り付いたようにがっちりと動かなくなります。
四肢の筋肉に浸潤した場合には、歩き方に異常が出ることがあり、骨に浸潤すると骨が腫瘍によって融解するために痛みを生じるようになります。

多くの場合は急速に大きくなるしこりに気づいて病院を受診しますが、実際には手で触知されるよりもかなり広い範囲に腫瘍細胞は浸潤しています。

猫の注射部位肉腫(ワクチン関連性肉腫)の原因とは

注射部位に起こる慢性炎症が誘因になると考えられています。

以前はワクチンを打った部分にできるしこりとして認知されていた病気で、ワクチンに含まれるアジュバント(ワクチンの効果を高める成分)が腫瘤を形成する原因とされていました。

しかしその後、ワクチン以外のどんな注射でも起こることが徐々に判明し、現在では注射部位肉腫という名前に変更されました。

注射を打った部位で起こる炎症反応が誘因になっていると考えられており、特にワクチンではその反応が強く出てしまうようです。

猫の注射部位肉腫(ワクチン関連性肉腫)の好発品種について

好発する品種はありません。

好発品種はありません。
どんな猫でも起こる可能性があります。

猫の注射部位肉腫(ワクチン関連性肉腫)の予防方法について

ワクチン接種は適切な頻度で適切な部位に行いましょう。

どんな注射でも起こるとはいえ、やはりワクチン接種後の発生が多いのは事実です。
一度に複数のワクチンを同部位に接種しないようにすること、ワクチンの接種頻度を最低限にすること、アジュバントを含まないワクチンを打つことなどが予防策として挙げられます。

またワクチンを接種する際には、腫瘤ができても切除しやすい場所(四肢など)に注射し、首や肩甲間部は避けることが推奨されています。
これは、万が一注射部位肉腫ができてしまった時の対策で、最悪の場合には断脚などによって完全切除できるように、という意味合いです。

もしワクチン接種後や注射治療後にしこりができていることが分かった場合には、できるだけ早く病院を受診し、細胞の検査をしてもらいましょう。

猫の注射部位肉腫(ワクチン関連性肉腫)の治療方法について

外科手術が第一選択です。

できるだけ早く、できるだけ大きく切除することが治療の第一選択で、一度の手術でとり切ってしまうことが重要です。
注射部位肉腫の大半を占める線維肉腫は、手で触知できるしこりがすべてではなく、タコの足の様に腫瘍細胞を周囲の組織に浸潤させており、外科手術後の再発率が非常に高い腫瘍です。
進行すればするほど深部の組織に腫瘍が浸潤し、骨まで浸潤してしまうと治療は非常に困難になります。
完全切除のためには周囲の組織を約3cm、可能であれば5cm余裕をもって取らなければならず、筋肉や筋膜、骨もできるだけ切除することが必要です。
四肢の付け根にできた場合には、完全切除のために断脚が選択肢となることもあります。

早く発見できれば手術侵襲も最低限で済みますが、筋肉や骨を大きくとらなければいけない場合には手術は大がかりとなり、術後の運動機能に障害が残ることもあります。

放射線治療を組み合わせます。

外科手術でとり切れない場合には、補助療法として放射線治療を組み合わせます。
術前に行って手術侵襲を少なくする、あるいは手術後に取り切れなかった部分に照射して再発を防ぐ目的で行います。

放射線治療のためには特殊な設備と全身麻酔が必要となり、費用も高額です。
大学病院などを紹介受診できるか、かかりつけの病院と相談しましょう。

抗がん剤治療は補助的に行われます。

抗がん剤だけで治療することは難しい腫瘍ですが、補助治療として有効な場合があります。
外科治療や放射線治療との組み合わせで行われますが、治療の後には副作用が出ることがあるため、注意深く様子を観察し、副作用が出た時の対処法などもしっかりレクチャーしてもらいましょう。

ナンバーサプリのウィズメディカ
ページ先頭へ SSL グローバルサインのサイトシール