犬の急性腎不全とは
急激に腎臓の機能が低下する疾患です。
急性腎不全とは、様々な原因により短時間で腎臓の機能が低下してしまう疾患です。
腎臓は血流が豊富な臓器であり、エネルギー要求量が多く、薬物や毒物を再吸収することで濃度が高くなることがあります。そのため、循環不全や毒性物質からの被害を受けやすく、急性障害を受けるリスクの高い臓器であると言えます。
犬の急性腎不全の症状とは
食欲不振、嘔吐などが見られます。
急性腎不全の主な症状としましては、食欲不振、元気消失、嘔吐、下痢などがよく見られます。また、症状が進行してしまいますと、口内炎、舌の潰瘍などが見られることがあります。
また、尿の量が減ってしまっている乏尿、尿が出なくなってしまう無尿が見られることもあります。このような状態の時に治療が遅れてしまいますと、痙攣や意識障害を引き起こすことがあります。
急性腎不全を脱することが出来た場合でも、腎臓の機能は元に戻らず慢性腎不全へと移行する可能性があります。
犬の急性腎不全の原因とは
腎前性、腎性、腎後性に分けられます。
急性腎不全の原因としましては、腎前性、腎性、腎後性に分けられます。
脱水などにより腎臓に流れる血液が減少することで腎臓の機能が低下する場合を腎前性腎不全と呼びます。
腎臓自体に障害が生じることで腎機能が低下する場合を腎性腎不全と呼びます。腎性腎不全の原因としましては、毒物や薬物、感染症、自己免疫疾患が挙げられます。急性腎不全を引き起こす代表的な毒物・薬物としましては、保冷剤に含まれるエチレングリコールやブドウ、ヘビ毒などが挙げれます。また、感染症としましては、レプトスピラ症やライム病などが挙げれます。
腎臓以降の尿路で起こった閉塞が原因で腎臓の機能が低下する場合を腎後性腎不全と呼びます。尿管結石や尿道結石が閉塞を起こすことがあります。
犬の急性腎不全の原因は、60％が腎性と最も多く、原因不明が30％、腎前性が10％と言われ、腎後性は非常に少ないと言われています。
犬の急性腎不全の好発品種について
全犬種で好発します。
急性腎不全はあらゆる犬種で発生します。原因によっては中高齢で発症しやすいと言えますが、若齢でも発症します。
犬の急性腎不全の予防方法について
原因によっては予防ができます。
急性腎不全は、原因によっては予防出来ると言えます。
脱水、尿路の閉塞が見られる場合は、早期発見・早期治療をおこなうことで、急性腎不全が続発することを予防しましょう。
薬物・毒物に関しては、犬が届く場所に置かない、散歩中に拾い食いさせない、などで予防しましょう。
レプトスピラ症も急性腎不全の原因となりますが、レプトスピラ症はワクチンがあります。定期的にワクチン接種をすることが急性腎不全の予防に繋がると言えます。
犬の急性腎不全の治療方法について
輸液療法などをおこないます。
急性腎不全の原因として感染症、自己免疫疾患、尿路閉塞などの疾患が見られる場合は、その疾患の治療をおこないます。
原因疾患の治療をおこないながら輸液療法をおこないます。脱水補正、電解質異常の是正、血圧や腎血流量の維持が目的になります。障害を受けた腎臓が治癒するには数週間から数か月かかるため、輸液は腎臓自体を治すわけではありません。
乏尿や無尿の場合は輸液療法をおこない、血圧が低い場合は血圧を挙げる昇圧薬を投与することがあります。昇圧薬を投与して血圧が維持出来ているのに乏尿や無尿が続く場合は、血液透析が適応となります。
予後は急性腎不全の原因によって変わります。感染や尿路閉塞が原因である場合は死亡率は高くありませんが、エチレングリコールなどの毒物が原因である場合は死亡率は８０～９０％と高くなります。
