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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬のネフローゼ症候群とは

様々な症状が見られる糸球体疾患のことをネフローゼ症候群と呼びます。

腎臓の組織構造は糸球体と尿細管間質に大別されます。病理学的に主な病変が糸球体にある腎疾患を糸球体疾患と呼びます。糸球体疾患の主な症状は蛋白尿と低蛋白血症ですが、これに加えて腹水貯留、浮腫、高コレステロール血症が同時に認められる状態をネフローゼ症候群と呼びます。

犬のネフローゼ症候群の症状とは

ネフローゼ症候群の定義

糸球体は、ネフロンにおいて血液の濾過を担っている特殊な毛細血管床です。血液の濾過は、糸球体毛細血管の有窓性内皮細胞、糸球体基底膜、臓側上皮細胞から形成されるバリアを通して行われます。健常な犬においては、このバリアは水分子と小分子のみを通し、蛋白質などの高分子量の物質はほとんど通さないとされています。少量の蛋白質はバリアを通過するが、尿細管で再吸収されます。糸球体疾患によりこのバリアが破綻すると、生理的な量以上の蛋白質がバリアを通過するようになり、蛋白尿が認められるようになります。

顕著な蛋白尿に起因して認められる病態としましては、低蛋白血症、浮腫、腹水貯留、全身性高血圧症、凝固亢進、高コレステロール血症が挙げられます。蛋白尿、低蛋白血症、高コレステロール血症、浮腫、腹水貯留が同時に認められる状態をネフローゼ症候群と呼びます。

ネフローゼ症候群の症状

食欲が無い、元気が無い、痩せてきた、などの非特異的な症状に加えて、浮腫や腹水貯留に関連した症状として腹囲膨満などが認められます。血栓塞栓症と関連した症状として呼吸困難などが見られることがあります。

合併症

凝固亢進が発生することで、肺や大動脈などに血栓塞栓症を引き起こす可能性があります。
また、蛋白尿に起因した尿細管の変性、萎縮やネフロンの喪失などが起こるため、腎不全で認められる症状も同時に起こり得ます。

犬のネフローゼ症候群の原因とは

二次性に発生することが多いとされています。

ネフローゼ症候群は糸球体疾患から引き起こされます。犬に認められている糸球体疾患としましては、免疫複合体糸球体腎炎、糸球体硬化症、アミロイドーシス、遺伝性腎炎などが挙げられます。
特発性の場合もありますが、多くは二次性に発生します。感染性疾患、炎症性疾患、腫瘍性疾患、免疫介在性疾患、副腎皮質機能亢進症、全身性高血圧症などの何らかの基礎疾患が関係していることが多いです。

犬のネフローゼ症候群の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

ネフローゼ症候群の発生は、中高齢の犬に多いとされています。猫でも発生しますが、犬に比べるとその頻度はかなり低いとされています。

イングリッシュコッカースパニエル、ゴールデンレトリーバー、サモエド、スタンダードプードル、ドーベルマン、バーニーズマウンテンドッグ、ビーグル、ブルテリアなどが好発犬種として挙げられます。

犬のネフローゼ症候群の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

予防方法は無いため、早期発見、早期治療をおこないます。

犬のネフローゼ症候群の治療方法について

基礎疾患の治療

基礎疾患の治療が最も重要になります。アレルギー性疾患や免疫介在性疾患が根底に存在する場合には治療に副腎皮質ホルモン剤が必要なことがありますが、副腎皮質ホルモン剤は、糸球体疾患を憎悪させることが多いので注意が必要です。
また、糸球体疾患の治療においては、腎疾患用の食事が基本となります。ただし、明らかな基礎疾患がある場合にはそれに合わせた食事を選択することも重要です。

内科的治療

蛋白尿の治療として、アンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与します。犬の糸球体疾患では劇的な効果は期待できないとされています。また、高血圧を併発していることが多く、第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素阻害薬となりますが、蛋白尿の治療として既に投与されていることがあります。
重度の低蛋白血症による血栓塞栓症を予防するために抗血小板療法をおこないます。抗血小板薬を投与します。
腹水貯留や浮腫に対しては利尿薬を投与します。循環血液量が減少しているケースも多いので慎重に判断しなくてはなりません。また、腹水貯留に対しては明らかな不快感や呼吸困難が無い限り、穿刺による腹水抜去はおこないません。

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