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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬のDIC(播種性血管内凝固症候群)とは

全身性、持続性の凝固障害です。

DIC(播種性血管内凝固)は、悪性腫瘍、敗血症、外傷など、様々な疾患がトリガーとなり、全身性、持続性に著しい凝固活性が生じ、全身の微小血管内に微小血栓が多発する重篤な病態です。進行すると血小板や凝固因子が消費されて低下し、消費性凝固障害(出血症状)の病態となります。また、凝固活性化に伴って線溶系の活性化も見られますが、その程度は基礎疾患によって様々です。

犬のDIC(播種性血管内凝固症候群)の症状とは

二大症状が見られます。

DICの二大症状は、微小血栓の閉塞による臓器障害、凝固因子が消費されて不足することによる出血症状です。これらの二大症状が臨床徴候として出現した段階では、予後は極めて不良となります。

臓器障害の徴候としましては、腎不全、肝不全、脳障害、呼吸障害などが挙げられます。出血症状の徴候としましては、血尿、血便、紫斑などが挙げられます。

犬のDIC(播種性血管内凝固症候群)の原因とは

様々な基礎疾患がトリガーとなります。

基礎疾患によりDICの発生機序は異なりますが、多くの場合は、炎症性サイトカインが大きく関与しています。サイトカインの作用により、単球、マクロファージや血管内皮から大量の組織因子が産生され凝固が活性化します。

獣医学領域で知られているDICの主な基礎疾患には、悪性腫瘍、免疫介在性溶血性貧血、重篤な感染症、急性膵炎、肝胆道系疾患、子宮蓄膿症、不適合輸血、広範囲な外傷や熱傷、熱中症などがあります。悪性腫瘍の中でもとくにリンパ腫と血管肉腫は高い確率でDICを引き起こします。また、乳腺の片側全摘術などの広範囲に渡る皮膚の切除は、炎症性のサイトカインが多量に分泌されるため、手術自体がDICを引き起こす可能性があります。

犬のDIC(播種性血管内凝固症候群)の好発品種について

全犬種で好発します。

DICは様々な基礎疾患が発生の原因となります。そのため、どの犬種でも見られる可能性があります。

犬のDIC(播種性血管内凝固症候群)の予防方法について

基礎疾患の早期発見・早期治療をおこないます。

悪性腫瘍、免疫介在性溶血性貧血、重篤な感染症、急性膵炎、肝胆道系疾患、子宮蓄膿症、不適合輸血、広範囲な外傷や熱傷、熱中症などがDICの原因となる代表的な基礎疾患になります。これらの基礎疾患が診断されたときは、早期治療をおこないましょう。DICは、死の直前の状態であると言えます。ただし、基礎疾患が何であれDICが完全に成立してしまってからでは救命することは非常に難しいため、いかに早期にDICの前段階を察知し治療を開始できるかが重要となります。

犬のDIC(播種性血管内凝固症候群)の治療方法について

基礎疾患の治療

DICの進行を阻止するためには、基礎疾患の治療が最も重要であると言えます。しかしながら、基礎疾患の治療をおこなっても基礎疾患が一両日中に治癒することは難しいため、基礎疾患の治療と並行してDICを阻止する治療をおこなう必要があります。

DICの治療

未分画ヘパリンあるいは低分子ヘパリン製剤がよく使用されます。ヘパリン自体には抗凝固作用はほとんどなく、アンチトロンビン活性を促進することで抗凝固作用を発揮します。そのため、アンチトロンビン活性が著しく低下している場合は、ヘパリンは無効となります。

アンチトロンビン活性が低下し、ヘパリンの効果が期待できない場合や出血傾向が著しい場合は、合成プロテアーゼ阻害薬が使用されます。合成プロテアーゼ阻害薬は、アンチトロンビン非依存性にトロンビンを抑制します。

新鮮凍結血漿または全血輸血をおこなう場合もあります。DICにおける輸血の意義は大きく2つあります。1つは凝固カスケードの活性化によって消費された凝固因子の補充、もう1つは凝固阻止因子であるアンチトロンビンの補充です。

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