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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の鉛中毒とは

鉛を経口摂取したことによる中毒です。

鉛中毒とは、鉛を経口摂取することで生じる中毒です。接触や銃創などで皮下や筋肉内に存在しても生物学的には不活性とされています。

犬の鉛中毒の症状とは

消化器症状、神経症状などが見られます。

鉛中毒の症状は非特異的であり、ほとんどが亜急性であるとされています。嘔吐、食欲不振、発作などの神経症状や、不整脈といった重篤な状態になることがあります。
消化管内に鉛が残存していることも多いため、腹部レントゲン検査で確認することができます。猟犬などでは、鉛弾が筋肉内に残存している場合がありますが、筋肉内などでは鉛が吸収されて鉛中毒になることはないため注意が必要です。

慢性例では、食欲不振、下痢、嘔吐などの消化器症状を起こし、次第に貧血も認められるようになります。また、若齢犬の慢性経過では、レントゲン検査では骨端線の硬化(鉛線)が見られる場合があります。

臨床症状の重篤度と血中濃度はあまり相関しないことが多いと言われています。

犬の鉛中毒の原因とは

鉛製品を経口摂取して発症します。

好奇心や異食性によって釣りのオモリ、はんだ、バッテリー、塗料などの鉛製品を経口摂取して発症することが多いとされています。
鉛は経口摂取した2~10%だけがゆっくりと吸収され、血液を介して軟部組織に侵入し、骨組織へと再分布され、胆汁中または尿中へと排出されます。血中濃度が0.35~0.4ppmを超えると毒性の影響が見られ、神経毒性、胃腸管毒性、造血毒性が見られるようになります。神経毒性は、毛細血管障害および神経壊死、抹消神経系における脱髄とと伝導速度の遅延、GABAの活性阻害などにより発生します。胃腸管毒性の発生機序は不明ですが、神経毒性の二次的な作用の可能性があるとされています。造血毒性は、ヘム合成阻害によって赤血球の脆弱性が増すことによって生じます。

犬の鉛中毒の好発品種について

全犬種で好発します。

鉛中毒は、鉛を経口摂取することで発症するため、どの犬種でも起こります。若齢個体、とくに1歳未満の発症が多いとされており、高齢動物に比べてより激しい影響を受けます。

犬の鉛中毒の予防方法について

誤食させない環境を作りましょう。

釣りのオモリ、はんだ、バッテリー、塗料などの鉛製品に接触できないように、犬が届かない場所に保管しましょう。

 

 

犬の鉛中毒の治療方法について

胃腸管の浄化、キレート療法、対症療法をおこないます。

鉛中毒の治療は、胃腸管の浄化、キレート療法、対症療法に分けられます。

消化管内に鉛が残存している場合は、催吐処置、内視鏡、外科的処置によって消化管内から速やかな除去を検討します。胃洗浄はあまり奏効しないことが多いと言われています。硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウムは、浸透圧下剤として胃腸管の排泄を促し、不溶性の硫酸鉛複合体を形成することで、鉛を沈殿させて吸収を阻害します。

血液および体組織からの鉛の除去にはキレート薬を用います。キレート薬としましては、エデト酸カルシウムナトリウム水和物、ペニシラミン、ジメチルカプロールなどが挙げられます。エデト酸カルシウムナトリウム水和物を投与すると血液中の鉛が減少して尿中の鉛が増えますが、再分布によって脳や肝臓の鉛濃度が上昇します。そこでジメチルカプロールを併用すると、脳、肝臓の鉛濃度の上昇を防ぎ、急性の神経症状を軽減させることにつながります。さらに腎不全に対してもジメチルカプロールと鉛の錯体が胆汁排泄されるため、症状の悪化を防ぐ可能性があります。

キレート薬を用意できない場合は、鉛の除去と対症療法のみとなってしまいますが、一定の効果は得ることができます。脳浮腫による発作に対しては、利尿剤の投与をおこない、必要に応じて抗痙攣薬の投与をおこないます。

早期に鉛の除去やキレート薬によって血中鉛濃度を十分に低下できれば予後は良好と言えます。組織損傷が広範囲に及ぶ場合、とくに神経症状が見られる場合は予後不良となる可能性があります。

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