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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の結晶尿とは

膀胱炎や尿道閉塞の原因になります。

猫の膀胱炎、尿道閉塞の原因の一つに結晶尿があります。
結晶尿とは、尿の中に含まれるミネラル分が結晶として析出した状態で、少量の場合は尿中に浮遊しているため肉眼ではわかりませんが、多量に貯留すると細かな砂のように見えることがあります。

結晶には角があり、膀胱粘膜を常に刺激するため、膀胱炎の原因となります。
また、尿道が細くて長いオス猫では、析出した結晶が一度に尿道に流れ込むことによって尿道閉塞を起こすことがあり、発見が遅れると急性腎不全を起こすことがあります。
慢性的に結晶が多量に膀胱に存在する状態が続くと、やがて結晶は結石に成長し、その種類によっては膀胱を切開して摘出する手術が必要になることもあります。

猫でよく見られる結晶は、主にストルバイト結晶とシュウ酸カルシウム結晶です。
定期的に尿検査することでその有無を確認することができ、結晶がみられるような場合には食事内容の変更や、水分摂取を強化するなどの対策が必要です。

猫の結晶尿の症状とは

膀胱炎症状を示します。

・頻尿
・血尿
・排尿痛
・尿が出ない(尿道閉塞)

結晶が尿中にできると、膀胱粘膜を結晶が常に刺激するため、膀胱炎症状を示します。
初期には無症状~頻尿がみられますが、症状が進行すると血尿や排尿痛を伴うようになり、そのストレスから食欲不振、元気消失などといった症状にも発展することがあります。

オス猫はメス猫に比べ尿道が細くて長いため、膀胱内で析出した結晶が尿道に一気に流れ込むことによって、尿道に詰まってしまい、尿道閉塞を起こすことがあります。
尿道閉塞が起こると、尿が全く排泄できなくなるために、膀胱がパンパンになるまで尿が貯留し、発見が遅れると尿管・腎臓にも尿が逆流して急性腎不全となることがあります。

急性腎不全を起こすと、尿毒症による頻回の嘔吐、食欲廃絶、元気消失、ぐったりとしているといった重篤な症状が現れます。
迅速に対応して、排尿できるようにしてあげなければ、命に関わります。

猫の結晶尿の原因とは

飲水量の低下が原因になります。

寒くなる秋口から冬にかけては、夏に比べると飲水量がぐっと減ります。
そのため、尿量が減り、尿が濃くなることによって尿中のミネラル分濃度が上がり、結晶尿になりやすい時期といえます。

また、肥満傾向のネコちゃんは、活動性が低下することによって飲水量も減るために結晶尿などの下部尿路疾患にかかりやすいとされています。

食事内容は尿に影響します。

尿のpHは食事内容によって変化します。
尿がアルカリ性に傾くとストルバイト結晶、酸性に傾くとシュウ酸カルシウム結晶ができやすくなります。

同じ食事を食べていても、結晶尿ができる子とできない子がいるため、一概にどの食事が良い・悪いという問題ではなく、その子その子の体質に食事が合っているかどうかが重要です。

また、ミネラル成分の多いミネラルウォーターなども影響します。
特にマグネシウムやカルシウム濃度の高い硬水はそのリスクが高くなりますので、与えないようにしましょう。

細菌感染があると結晶ができやすくなります。

尿路感染があると、ウレアーゼ産生菌によって尿がアルカリ性になりやすく、そのためにストルバイト結晶ができやすくなることがあります。

猫の結晶尿の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

これらの品種は体質的に結晶尿になりやすい傾向があります。
しかし、これらの品種以外のどんな猫でも結晶尿は起こります。

猫の結晶尿の予防方法について

水分をしっかり摂り、適度に運動させましょう。

尿が濃くなると、尿中に排泄されたミネラル成分の濃度が高まり、結晶尿ができやすくなります。
日ごろから水分をしっかり摂り、尿が濃くなりすぎないようにすること、尿を定期的に排泄させることで、尿中に結晶が生成されやすい環境を作らせず、結晶尿を予防することにつながります。

また、猫では肥満と下部尿路疾患(膀胱炎や結晶尿など)に関連があることが報告されています。
適度に運動させることは、肥満を予防できるだけでなく、喉が渇き飲水を促すことにもつながります。
お部屋の中でオモチャ等で誘う程度で良いので、適度に運動させるようにしましょう。

定期的に尿検査をし、必要に応じて食事内容を変更しましょう。

尿検査は、体に負担をかけずに実施できる有効な健康診断です。
尿のpHや結晶の状態はもちろん、猫に多い腎臓病や糖尿病の早期発見にもつながりますので、定期的に尿検査をしてもらうようにしましょう。

採尿に苦労する場合が多いですが、その場合は病院で採尿器を購入することもできますので、相談してみましょう。

万が一、尿検査で尿中に結晶があることが指摘されたら、食事内容の見直し・変更や、内服薬やサプリメントの投与を検討する必要があります。

猫の結晶尿の治療方法について

食事療法で治療します。

結晶尿の治療・再発予防に重要なのが、食事です。
尿のpHがアルカリ性や酸性に傾いてしまうと結晶ができやすいので、それを適正な範囲にとどめるような食事を摂ることで結晶の生成を抑えます。

結晶の種類や、pHがどちらに傾いているかによって使用する食事内容は変わりますので、尿検査をしながら経過観察をし、安定してからも定期的に尿検査で食事内容の変更が必要かどうかをチェックしていきます。

また、水分摂取量も重要です。
自分である程度飲水をしてくれる子であれば問題ありませんが、普段からあまり水分を取らない子の場合には、缶詰タイプの処方食などを使用することで食事から水分を取らせるようにする場合もあります。

内服薬を投与します。

尿路感染によって尿中に細菌がいる場合には、抗生剤の内服薬を一定期間投与し、尿路感染を抑える治療を行います。

膀胱に起きた炎症によって頻尿が重度の場合には、ストレスによって食欲不振などが起こります。
その場合には消炎剤を投与して、頻尿を改善してあげる必要もあります。

体質によっては、食事内容を変更しても尿が酸性やアルカリ性に非常に傾いてしまうことがあります。
そのような場合には、内服薬で尿中に排泄されるミネラル分を抑制したり、漢方やサプリメントなどを併用して尿のpH調整が必要です。

尿道閉塞を解除します。

尿道に結晶が詰まって閉塞してしまった場合には、閉塞を解除する処置が必要になります。
多くの場合はオス猫で起こります。

尿道に局所麻酔薬や潤滑剤を付けたカテーテルを慎重に挿入し、詰まりのあるところまで到達したら生理食塩水などで数回フラッシュして詰まりを解除します。

詰まりが取れた後は、膀胱の中に溜まっている尿をすべて抜去し、生理食塩水で膀胱の中を洗浄して、膀胱内に残っている結晶をできるだけ取り除きます。
結晶の量が非常に多い場合は、数日間同じように膀胱洗浄処置を繰り返します。

手術で結石を摘出します。

猫ではあまり多くありませんが、膀胱の中の結晶が成長し、結石ができてしまうことがあります。
ストルバイト結晶の場合は食事を変更することで尿を酸性化し、溶かすことができますが、
シュウ酸カルシウムの場合は溶解療法はできないため、手術で結石を摘出する必要があります。

急性腎不全のアフターケアを行います。

尿道閉塞によって腎不全を起こしてしまった場合、重度の場合は入院下で点滴をし、排尿状態を観察しながら、腎臓のケアを行う必要があります。

多くの場合は尿道閉塞が解除されれば速やかに腎臓の血液検査数値も改善しますが、閉塞期間が長かった場合には、腎臓にそのダメージが残り、慢性腎臓病に移行してしまう場合があります。
その場合は残った腎臓の組織をできるだけ温存し、負担がかからないように食事療法・内科療法を始めます。

食事の選択については、結晶尿に対する治療も考慮しなければいけないため、定期的に尿検査をしつつ、獣医師と検討を重ねて決める必要があります。

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