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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の腎結石とは

腎盂に結石ができます。

腎臓は、腎臓の中を走る無数の毛細血管から血液中の老廃物を漉しとり、尿を作るという仕事を行っています。
作られた尿は「腎盂」という、尿管につながる漏斗状の空間に集められ、尿管→膀胱→尿道を通って体外に排泄されます。

腎結石は、この腎盂に形成された石のことを言います。
腎結石があっても無症状のことが多いですが、大きくなると尿の排泄に支障をきたすことがあるほか、腎盂腎炎などを起こすことがあり、また小さな腎結石が尿管に落ちると尿管結石となって閉塞し、腎臓から膀胱に尿が流れず、腎臓内に尿が貯留する「水腎症」になることがあります。
両側の腎臓でこのような状態になると、尿毒症を起こし、命に関わる状態になります。

猫の腎結石の症状とは

小さな結石の多くは無症状です。

腎臓内に結石ができていても、多くは無症状です。
血尿が出ることもありますが、はっきりとした血尿というより顕微鏡で見なければわからないようなレベルの血尿のことも多いため、実際には健康診断や他の病気の検査で偶発的に発見されることが多い病気です。

結石が大きくなり、生成された尿の排泄に支障をきたすようになると、腎臓に負担がかかり、吐き気や食欲不振、元気消失などの腎不全症状がみられるようになります。
しかし腎臓は左右2個あるため、右か左どちらかの腎臓が機能している間は症状が出ないことがほとんどです。

腎結石を早期に発見するカギとなるのは尿検査です。
症状がなくても、腎結石があると尿の中に血液成分や炎症細胞、腎臓の組織の一部が混在するようになります。
これらをヒントに、レントゲン検査や超音波検査をすることによって発見できます。

尿管に落ち込むと尿管結石となります。

小さな腎結石が尿管に流れ込むと、猫の尿管は非常に細いために途中で詰まってしまうことがあります。
尿管閉塞を起こすと尿は腎臓から排泄されなくなり、溜まった尿で腎盂が大きく拡張し、腎臓の組織が圧迫されて傷害されてしまう「水腎症」となってしまいます。

早期に発見されて尿管の閉塞が解除されれば、腎臓機能はある程度維持されますが、発見が遅れると腎臓のダメージは不可逆的となり、急性腎不全から慢性腎臓病に移行してしまいます。

また、両側の腎臓でこのような閉塞や水腎症が起こると、排泄されるべき老廃物が体に貯留してしまい、尿毒症を起こします。
尿毒症では、強い吐き気、頻回の嘔吐、食欲廃絶、意識混濁、痙攣などの神経症状を示し、早期に治療しなければ命の危険があります。

大きな結石も尿の排泄障害を起こします。

腎盂に大きな結石ができ、尿管への尿の排泄が妨げられるようになった場合も、尿管結石の時と同様に水腎症や尿毒症を起こすことがあります。

また腎結石に細菌感染が伴うと、結石が菌の温床になることによって腎盂腎炎を起こすことがあります。
腎盂腎炎を起こすと発熱や食欲不振、嘔吐などの症状を示すようになり、腎機能が低下してしまいます。

猫の腎結石の原因とは

ミネラルのアンバランスが原因です。

猫で尿路に見られる結石の大半は、シュウ酸カルシウム結石かストルバイト結石です。
膀胱結石ではその比率は半々からややストルバイト結石(または結晶)が多いですが、腎結石のほとんどはシュウ酸カルシウムとなっています。

なぜ、腎結石にシュウ酸カルシウムが多いのかは明らかにはなっていませんが、中には血液中のカルシウムが高値になる基礎疾患(上皮小体機能亢進症や腫瘍疾患など)が関連していることがあります。

血液中のカルシウムなどのミネラル成分濃度が高くなると、必然的に尿に排泄されるミネラルも多くなり、それによって尿路に結石ができやすくなると考えられます。

飲水量や食事、感染などが原因になります。

他の尿路結石や結晶尿の原因と同様に、水分摂取量が少ない、食事内容が体質に合わず尿がアルカリ性や酸性に極端に傾いている、肥満のために水分摂取や排泄回数が減る、といった要因が、結石の生成に関与しています。

また、尿路の細菌感染などがあると尿がアルカリ性に傾きやすくなり、それによって結石ができやすくなることがあります。

猫の腎結石の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

これらの品種は結石や結晶尿による尿のトラブルが起こりやすい品種です。

猫の腎結石の予防方法について

バランスの良い食事と十分な水分補給で予防しましょう。

尿路結石は、食事内容や水分補給量の低下によってできることが多いため、ミネラルバランスの良い食事や、尿のpHを調節する効果のある食事などに変更し、十分に水分補給することで結石の形成を抑えることが期待できます。

定期的に尿検査を受けましょう。

ワクチンや健康診断で病院を訪れるときには尿検査を一緒にしてもらうようにしましょう。
腎結石は症状を示しにくい一方で、症状が出た時には尿毒症などを起こし危険な状態に陥っていることが少なくない病気です。

症状がない時期に早期発見できれば、腎臓の機能を温存することができ、いざ手術が必要となっても、麻酔リスクを下げることができます。

猫の腎結石の治療方法について

結石が小さく無症状の場合は経過観察します。

尿にも異常所見がなく、偶発的に発見された小さな腎結石の場合は、経過観察を行います。
定期的にレントゲン検査や超音波検査を行い、結石が大きくなっていないか、閉塞して水腎症を起こしていないかどうかをチェックし、治療が必要な時にすぐに対応できるように状況を確認しておきます。

ストルバイト結石は溶解療法を行います。

結石の中でも、ストルバイト結石は尿を酸性化することによって溶解することができる結石です。

腎結石があり、尿検査で極端なアルカリ尿が認められる場合は、ストルバイト結石が疑われるため、食事療法で溶解できるか試験的に治療を行うこともあります。
しかし、多くの腎結石は内科治療で溶解できないシュウ酸カルシウム結石のため、食事による溶解療法は適応にならないことがほとんどです。

水腎症を発症している場合は結石の摘出を検討します。

水腎症を発症している場合は、尿管もしくは腎盂で尿路が閉塞していることを示唆しています。
両側で閉塞が起こると直ちに命に関わる状態になってしまうため、必要に応じて手術で結石を摘出します。
尿管で閉塞している場合は尿管を、腎盂で閉塞している場合は腎臓を切開して結石を取り除きます。

術後は、尿の排泄ができているかどうかを確認したうえで退院し、再発予防のために食事療法などを行います。

抗生物質で感染の治療を行います。

尿路感染症を併発している場合には、尿の培養を行い、原因菌に効果のある抗生物質を投与して感染を抑えていく必要があります。

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