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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の膵外分泌不全とは

膵臓から分泌される酵素の量が低下することで生じる疾患です。

膵外分泌不全は、膵腺房細胞の萎縮や破壊により膵酵素の分泌能力が90%以上失われることで消化不良を生じる疾患です。

犬の膵外分泌不全の症状とは

体重減少や小腸性下痢がよく見られます。

膵外分泌不全の臨床症状としましては、食欲は亢進しているのに体重は減少し、削痩と被毛粗剛がよく認められます。正常便や軟便の場合でも便量は増え、体重は減少傾向を示します。脂肪便が必発ではありませんが、頻度は高く、典型例では慢性小腸性下痢が認められます。異嗜や糞食をする場合もあります。

血液化学検査では、低アルブミン血症、低グロブリン血症、低コレステロール血症、低トリグリセリド血症などの異常が認められます。コバラミンの吸収に必要な内因子は主に膵臓で産生されるため、低コバラミン血症を生じる場合もあります。

出血傾向を認める場合もあり、その際は血中のビタミンK濃度を測定する必要があります。

犬の膵外分泌不全の原因とは

様々な要因で引き起こされます。

膵外分泌不全は、膵腺房細胞の萎縮や破壊により引き起こされます。
膵外分泌不全の原因としましては、遺伝的な膵腺房細胞萎縮、無症候性の慢性膵炎に関連した進行性の膵腺房細胞破壊、自己免疫性の膵腺房細胞萎縮、自己免疫性の慢性膵炎、などが挙げられます。

犬の膵外分泌不全の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

遺伝的な膵腺房細胞萎縮は、ジャーマンシェパード、コリー、イングリッシュセッターなどが好発犬種とされています。
無症候性の慢性膵炎に関連した進行性の膵腺房細胞破壊は、ミニチュアシュナウザーが好発犬種とされています。
自己免疫性の慢性膵炎は、イングリッシュコッカースパニエルが好発犬種とされています。

ジャーマンシェパードの多くは2歳までに発症しますが、膵腺房細胞萎縮は5歳までに発症する傾向があります。5歳以上の場合は、慢性膵炎に起因した膵実質の消失が原因となる膵外分泌不全が多いとされています。

膵外分泌不全に雌雄の差は認められません。

犬の膵外分泌不全の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

膵外分泌不全は予防が難しい疾患と言えますが、膵外分泌不全の原因となる慢性膵炎の早期発見、早期治療をおこなうことが膵外分泌不全の予防につながる可能性があります。

犬の膵外分泌不全の治療方法について

内科的治療

膵外分泌不全の治療としましては、消化酵素を経口投与します。消化酵素として食用獣の膵臓から抽出されたパンクレアチンが挙げられます。消化酵素を与えても臨床徴候が改善されない場合は、消化酵素の用量や種類の変更を検討する必要があります。消化酵素の投与量は明確には決まっていませんが、状態により増減し、効果が得られる用量を求める必要があります。

消化酵素を内服しても下痢が改善しない場合は、腸内細菌の過剰増殖の可能性があります。その際は、抗菌薬を投与する場合はあります。

コバラミン欠乏の場合には、消化管でも同化不良の問題から非経口的なコバラミンの投与が必須になります。脂溶性ビタミンも吸収不良になる可能性があり、それによる凝固異常の徴候があればビタミンKを補充します。

低脂肪食の給与

慢性膵炎に起因する膵外分泌不全では、脂肪と繊維質の含量が制限された高消化性のフードを用います。膵腺房細胞委縮に起因する膵外分泌不全では、低脂肪食が必ずしも最適であるとの報告はありません。状態により、低脂肪の高消化性フード、消化酵素が適当であれば総合栄養食の基準を満たす範囲内において脂肪含有量の少ない高消化性フードを選択します。

予後

良質なフードに消化酵素を併用することによって臨床徴候が改善されれば予後は良好と言えます。コバラミン欠乏が認められる場合は、予後が悪いことがあります。

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