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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の肺水腫とは

肺に水分が貯留した状態です。

肺水腫とは、肺間質・肺実質の水分貯留と定義され、肺血管外に漏出する液体の速度が生理的な除去速度を超えた状態で発生します。
肺水腫には、心疾患を原因とした心原性肺水腫、心疾患以外が原因で生じる非心原性肺水腫が存在します。

犬の肺水腫の症状とは

呼吸困難、特徴的な姿勢が見られます。

一般的な臨床症状としましては、呼吸困難、頻呼吸(浅速呼吸)が認められ、努力呼吸をおこなうための特徴的な姿勢(頸部伸長、肘の外転、開口呼吸、体位変換困難など)を示します。咳は必発の症状ではありません。咳とうっ血性心不全には有意な関連が認められなかったという報告もあります。

肺水腫がより重篤になるにつれてピンク色の泡沫液(気道液)の喀出が見られる場合があります。循環不全も同時に起こる可能性があり、粘膜蒼白、頻脈、徐脈、低血圧、低体温などが認められます。

犬の肺水腫の原因とは

心原性肺水腫

心原性肺水腫の原因疾患の多くは僧帽弁閉鎖不全症であり、中には拡張型心筋症や動脈管開存症なども見られます。これらの心疾患による容量負荷が重度の左心不全を引き起こし、それに伴い肺水腫が発症します。

肺では通常、血管と間質の間で晶質浸透圧と膠質浸透圧による水分の移動、ならびにリンパ管ドレナージでの回収がおこなわれ、水分の均衡を保っています。心疾患を有している動物では、うっ血性心不全のため左房圧、肺静脈圧、肺毛細血管圧が上昇した結果、間質や肺胞腔内に水分が貯留し肺水腫が発症します。

非心原性肺水腫

非心原性肺水腫には様々な原因が存在しますが、基本的には血管透過性の亢進による肺水腫になります。

・陰圧性肺水腫
一般的に上気道閉塞に起因します。気道閉塞とそれに対抗するための強い吸気努力により、胸腔内に強烈な陰圧が生じ、その陰圧により静脈還流量が増加して肺毛細血管静水圧が上昇します。一方で肺間質や肺胞腔は、その陰圧により毛細血管内外の圧較差が顕著となるため、一気に水分の移動が起こります。
原因疾患としましては、喉頭疾患、短頭種気道症候群、異物による閉塞などが挙げられます。

・神経原性肺水腫
病態は明らかになっていませんが、中枢神経の侵襲に対する生体反応として副腎髄質からカテコラミンが過剰に分泌すること、それに加えて交感神経の緊張が亢進することが関与していると考えられています。
原因疾患としましては、発作、頭部外傷などの中枢神経障害、感電などが挙げられます。

・急性呼吸窮迫症候群
先行する炎症性疾患に続発して発生します。基礎疾患により活性化された炎症細胞からサイトカインなどの炎症性メディエーターが放出され、好中球の肺血管への集簇が起こります。好中球から組織障害性物質が放出された結果、血管内皮や肺胞上皮に高度な炎症が起こり、血管透過性が亢進して肺水腫が発生すると考えられています。
直接損傷と間接損傷に分類されます。直接損傷には、誤嚥性肺炎、気管支肺炎、肺腫瘍、肺挫傷などの肺疾患が挙げられます。間接損傷には、ショック、膵炎、敗血症などの肺以外での疾患が挙げられます。

犬の肺水腫の好発品種について

全犬種で好発します。

心原性肺水腫は、僧帽弁閉鎖不全症が原因となることが多いため、僧帽弁閉鎖不全症の好発犬種であるキャバリアキングチャールズスパニエル、チワワ、トイプードル、ポメラニアン、ミニチュアダックスフンド、ヨークシャーテリアなどの犬種は注意が必要です。

非心原性肺水腫は、原因が多岐に渡るため、どの犬種でも起こり得ると言えます。

犬の肺水腫の予防方法について

原因疾患の早期発見、早期治療が予防につながります。

肺水腫は様々な原因疾患によって引き起こされます。原因疾患の早期発見、早期治療が肺水腫の予防につながると言えます。
肺水腫を発症してしまった場合も早期発見、早期治療で救命できる可能性があります。肺水腫の原因疾患を抱えている場合は、肺水腫を疑うサインが見られたらすぐに動物病院で診察を受けましょう。

犬の肺水腫の治療方法について

酸素療法

肺水腫により呼吸状態が悪い場合には、まず酸素療法を開始するべきであるとされています。酸素療法の方法としましては、フローバイ法、マスク法、フード法、酸素室管理などが挙げられます。呼吸状態が重篤である場合、極度の循環不全に陥っている場合、意識レベルが低下している場合は、気管挿管を実施し、陽圧呼吸管理にて管理します。

循環管理

心原性肺水腫において優先すべき治療目標は肺水腫からの離脱と血圧の維持となります。
うっ血に対する治療として、ループ利尿薬の投与が第一選択となります。初期治療の際に利尿薬の併用する薬剤として静脈血管拡張薬の投与を実施します。これらの薬剤の投与でも呼吸状態や循環動態が改善しない場合は、第二選択薬として、血管拡張薬や強心薬の併用をおこないます。

原因疾患の治療

非心原性肺水腫の治療には、原因となった事象や疾患の改善が絶対的に必要となります。しかしながら、それだけでは肺水腫の治療としては不十分であり、支持療法としても酸素療法や輸液療法が治療の大部分を占めることになります。非心原性肺水腫の治療の場合、心原性肺水腫の治療のように積極的な利尿薬の投与はおこないません。

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