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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の巨大食道症とは

食道の運動性が低下し、食道がび漫性に拡張した状態です。

巨大食道症とは、食道の運動性が低下し、食道がび漫性に拡張した状態のことを言います。巨大食道症は先天性、後天性二次性、後天性特発性に分類されます。

犬の巨大食道症の症状とは

吐出、誤嚥などの症状がみられます。

一般的な臨床徴候は吐出ですが、誤嚥性肺炎を併発している場合には発咳、呼吸困難などの呼吸器徴候も認められます。

巨大食道症の診断には単純X線検査およびバリウム造影X線検査が有用であり、食道がび漫性に拡張し、バリウムが食道内に長時間留まる場合には巨大食道症と診断します。バリウム造影X線検査は、液体バリウムだけではなく、ペースト状フード+バリウム、ドライフード+バリウムなど、様々な形状で試すことが望ましいとされています。

巨大食道症とわかったら基礎疾患の検索が必要になります。

犬の巨大食道症の原因とは

先天性巨大食道症

先天性巨大食道症は生後10週齢頃までに診断されることが多く、同腹子に2頭以上見られることが多いとされています。
病態は明らかにされていませんが、求心性迷走神経の機能障害が示唆されています。

後天性二次性巨大食道症

後天性二次性巨大食道症は、基礎疾患によって二次的に巨大食道症を起こした病態となります。
基礎疾患としましては、重度食道炎、裂孔ヘルニア、食道アカラシア様疾患、副腎皮質機能低下症、甲状腺機能低下症、重症筋無力症、鉛中毒、自律神経失調症、多発性筋炎、ジステンパーなどが挙げられます。

後天性特発性巨大食道症

吐出などの臨床徴候の発現が生後6か月齢以降で、後天性二次性巨大食道症の原因となる基礎疾患が認められない場合には、後天性特発性巨大食道症と診断されます。
後天性特発性巨大食道症の病態は明らかになっていませんが、求心性迷走神経の異常によって、食道拡張に対する反応性が消失していると考えられています。

犬の巨大食道症の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

グレートデーン、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパード、ニューファンドランド、ラブラドールレトリバーなどの大型犬で発生が多いとされています。

ミニチュアシュナウザー、ワイアフォックステリアでは常染色体優性遺伝による発生が報告されています。

後天性特発性巨大食道症は、ミニチュアダックスフンドの発生が多いことが報告されています。

犬の巨大食道症の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

早期発見、早期治療をおこないます。

後天性二次性巨大食道症の原因となる基礎疾患の早期発見、早期治療をおこなうことは巨大食道症の予防につながる可能性があります。

犬の巨大食道症の治療方法について

基礎疾患の治療、栄養治療、誤嚥性肺炎に対する治療をおこないます。

後天性二次性巨大食道症の場合には基礎疾患の治療をおこないます。基礎疾患の治療が困難な場合や基礎疾患の治療をおこなっても改善しない場合、先天性巨大食道症および後天性特発性巨大食道症では特異的な治療をおこなうことができないため、栄養治療と誤嚥性肺炎に対する治療が主体となります。

食事を給与する際は、食事が拡張した食道内に停滞しないよう重力によって胃内に到達させるために、食事中や食事後15~30分ほど犬を立位で保持します。

予後

すべての巨大食道症の犬は誤嚥性肺炎の併発や急変、突然死の可能性があり、予後には十分な注意が必要です。先天性巨大食道症の犬の一部は成長とともに食道の運動性が良化することがあり、その場合の予後は比較的良好です。後天性二次性巨大食道症の予後は基礎疾患が適切にコントロールされれば、食道の運動性が回復する可能性があります。後天性特発性巨大食道症の犬は食道の運動性が回復するすることは少なく、予後は不良~要注意です。巨大食道症の約40%で誤嚥性肺炎を併発する可能性があり、誤嚥性肺炎を併発する犬はそうでない犬と比較し予後が悪いと言えます。

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