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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の上皮小体機能低下症とは

上皮小体の破壊により上皮小体ホルモンの分泌が低下する疾患です。

上皮小体機能低下症は、上皮小体の破壊により上皮小体ホルモンの分泌が低下する疾患です。上皮小体ホルモンの欠乏により血中カルシウム濃度は低下し、血中無機リン濃度は上昇します。

犬の上皮小体機能低下症の症状とは

主に神経症状などが見られます。

上皮小体機能低下症の犬では、痙攣発作、振戦、筋痙縮、顔面や四肢端を舐める・こするなどの行動(知覚異常)、歩様異常などの臨床徴候が認められます。食欲低下、嘔吐、下痢、白内障などが見られることもあります。
これらの臨床徴候からは神経疾患も疑われるため、上皮小体機能低下症と診断がされない可能性もあります。そのため、スクリーニング検査として血中カルシウム濃度を測定することは重要であり、血液検査で低カルシウム血症、高リン血症が見られたら、確定診断のために血中PTH(上皮小体ホルモン)濃度を測定します。

PTHの測定方法としましては、分解されていないPTH全体を検出する、intact-PTHの測定がおこなわれます。上皮小体機能低下症の犬では血中intact-PTH濃度が低値となり、検出限界以下となることも少なくありません。

犬の上皮小体機能低下症の原因とは

腫瘍や免疫、甲状腺の切除などが原因となります。

上皮小体機能低下症の原因としましては、先天的な形成不全により上皮小体の機能が低い場合、頚部の外傷や腫瘍により上皮小体を損傷してしまい機能を損なう場合、などがあります。さらに、甲状腺の切除などの手術の際に上皮小体を傷つけてしまい、機能を損なう場合もあります。

犬の上皮小体機能低下症の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエル、ゴールデンレトリバー、ボクサーなどが好発犬種として挙げられます。

犬の上皮小体機能低下症の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

上皮小体機能低下症は、予防方法が無いため、早期発見・早期治療をおこないます。定期的な血液検査をおこなうことで早期発見につながる可能性があります。

犬の上皮小体機能低下症の治療方法について

急性期の治療

上皮小体機能低下症の治療は、低カルシウム血症の是正になります。急性期の治療では、カルシウム製剤の静脈内投与をおこないます。急速な投与は不正脈の原因となるため、必ず心電図でモニタリングしながら投与します。

慢性期の治療

原発性上皮小体機能低下症の維持治療では、ビタミンDおよびカルシウム製剤の経口投与をおこないます。維持治療の目標は、低カルシウム血症による臨床徴候を予防することであり、正常な血中カルシウム濃度を維持する必要はありません。
原発性上皮小体機能低下症では、高リン血症が存在することが多いですが、ビタミンD製剤の投与では血中無機リン濃度は低下しないため、血中カルシウム濃度を高くすると軟部組織への石灰沈着が生じ、腎障害の原因となります。
ビタミンD製剤は、血中カルシウム濃度をモニタリングしながら投与量について調節します。治療の初期にはビタミンD製剤に加えて、カルシウム製剤を投与することが推奨されていますが、市販のフードには十分なカルシウムが含まれているため、カルシウム製剤の添加を長期的に続ける必要はありません。ビタミンD製剤は、小型犬への投与時などは2日に1回投与など、投与間隔をのばすことで投与量を調節することもできます。

予後

原発性上皮小体機能低下症は、適切に治療がおこなわれれば良好な予後が期待できます。ただし、上皮小体の機能は回復しないため、生涯にわたる治療の継続が必要となります。

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