ウィズぺティ
初めての方へ会員登録ログイン買い物かご
TOP > 犬の病気辞典 > 犬の腎盂腎炎
Youtube 病気辞典
Youtube 病気辞典

監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の腎盂腎炎とは

腎盂および腎実質の炎症です。

腎盂腎炎とは、腎盂および腎実質の炎症のことを言います。腎盂のみの炎症は腎盂炎と呼ばれます。急性腎盂腎炎では、腎盂および腎乳頭のみが侵されます。慢性腎盂腎炎では、反復性炎症の結果、腎盂、腎乳頭、髄質、さらには皮質まで侵されることがあります。片側性の場合も両側性の場合もあります。

犬の腎盂腎炎の症状とは

無症状の場合や敗血症の場合もあります。

腎盂腎炎の臨床症状は非特異的で、無症状の場合もあれば、敗血症症状を示す場合もあります。急性腎盂腎炎は、しばしば発熱、食欲不振、無気力、振戦、嘔吐などが見られます。慢性腎盂腎炎では、無症状であったり、多飲多尿を示したりします。とくに片側性では無症状のこともあるが、両側性では高窒素血症を示すことが多いとされています。

膀胱穿刺尿による尿培養検査の陽性は尿路感染を意味し、通常、膀胱炎では発熱やCRPの上昇を伴う尿培養検査の陽性所見は腎盂腎炎を強く疑う根拠となります。腎盂腎炎の確定診断は、腎盂穿刺尿の尿培養検査の陽性によってなされます。ただし、腎盂拡張が軽度で腎盂穿刺が難しいことも多く、腎盂穿刺できない場合はその他の所見から総合的に判断し、腎盂腎炎が疑われれば診断的治療を開始します。

 

 

犬の腎盂腎炎の原因とは

原因として最も多く見られるのは細菌感染です。

腎盂腎炎の原因として最も多く見られるのは細菌感染で、真菌、ウイルス、寄生虫が認められることもあります。感染経路は下部尿路からの上行感染が主体ですが、細菌性心内膜炎などからの血行感染もまれに存在します。腎盂腎炎の成立には病原体の感染能力と宿主尿路の感染防御能との優劣が関係しています。

片側の腎盂尿細管接合部、尿管、尿管膀胱接合部の狭窄や閉塞は、片側の腎盂腎炎を引き起こしやすくなります。また、膀胱アトニー、尿道の狭窄や閉塞は、両側の腎盂腎炎を起こしやすくなります。尿路変更術や異所性尿管による膀胱から尿管への逆流防止機構の破綻も腎盂腎炎の素因となります。

犬の腎盂腎炎の好発品種について

全犬種で好発します。

腎盂腎炎の原因は細菌感染であるため、どの犬種でも発症する可能性があります。

犬の腎盂腎炎の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

腎盂腎炎の主要な原因である下部尿路疾患の早期発見、早期治療をおこないます。その結果、腎盂腎炎の予防につながる可能性があります。

犬の腎盂腎炎の治療方法について

抗菌薬の投与、基礎疾患の治療をおこないます。

腎盂腎炎の主体は細菌感染なので、血液あるいは尿から腎間質へ移行できる抗菌薬を投与します。理想的には尿培養検査や血液培養検査による薬剤感受性試験に基づく抗菌薬を選択すべきですが、薬剤感受性試験の結果が出るまでは、経験的に有効性が高いと思われる抗菌薬で治療を開始します。

抗菌薬の投与と同時に、尿路の感染防御を阻害する要因の除去がより重要となります。犬において腎盂・尿管結石は腎盂から膀胱への尿流を阻害するだけでなく、結石自体が細菌の温床になるので、尿路閉塞を起こしていなくても早期に溶解または摘出して除去します。また、尿管閉塞を起こしている場合は、腎盂ドレナージを兼ねて尿管ステント留置も考慮します。結石以外による尿路の狭窄や閉塞に対しても、外科的および内科的処置によって順行性のスムーズな排尿を確保して、感染の寛解を促進させます。

抗菌薬は最低でも4週間継続投与します。抗菌薬投与中に尿培養検査を実施し、投薬中の抗菌薬の効果を確認します。効果が認められない場合には薬剤感受性に基づいて抗菌薬を選択し直す必要があります。投薬終了後数日してから再度尿培養検査を実施して陰性であることを最終確認します。

予後

敗血症を起こしておらず、感染を寛解できれば可逆性であることが多いとされています。ただし、尿路の感染防御を阻害する要因の除去が十分にされていないと、再感染を繰り返して、慢性腎臓病に移行します。

ナンバーサプリのウィズメディカ
ページ先頭へ SSL グローバルサインのサイトシール