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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは

副腎皮質からホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。

副腎とは、体の調子を整える様々なホルモンを分泌する臓器です。
左右の腎臓の寄り添うように位置する小さな臓器ですが、体の代謝を正常に保つために重要な働きを担っています。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは、副腎が何らかの原因で過剰にホルモンを分泌するようになってしまう病気です。
飲水や食欲が増える他、筋肉が萎縮したり免疫力の低下などにつながり、様々な合併症を起こしてしまいます。

猫ではあまり多い病気ではありませんが、糖尿病の基礎疾患となっている場合もあるため、注意が必要な病気です。

猫のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の症状とは

水をたくさん飲むようになるのが特徴です。

副腎皮質機能亢進症の特徴的な症状として、多飲多尿があります。
水を異常にたくさん飲むようになり、その分尿量も増えます。
他には、以下のような症状が見られます

・食欲亢進
・脱毛
・皮膚が薄くなり裂けやすくなる
・お腹の筋肉が薄くなり、お腹が垂れ下がったようになる
・感染症にかかりやすくなる

副腎から出るコルチゾールというホルモンは、炭水化物や脂質、タンパク質など様々な栄養素の代謝を促進する作用、炎症を抑える作用、免疫を抑える作用、ストレスに対応して脳や体の調子を調整する作用などがあり、生体の維持には欠かせないホルモンです。
しかし、過剰に分泌されると、筋肉が痩せて薄くなったり、皮膚が菲薄化して裂けやすくなり、免疫抑制などが起こることから感染症などにもかかりやすくなってしまいます。

また、コルチゾールが糖の吸収に関わるインスリンの働きを阻害してしまうことから、糖尿病を発症しやすくなってしまいます。
下垂体性の副腎皮質機能亢進症の多くは糖尿病を併発しており、インスリン治療への反応が悪いことから基礎疾患を検査した結果、副腎皮質機能亢進症が見つかる場合もあります。

猫のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の原因とは

下垂体の腫瘍によっておこります。

猫に自然に発生する副腎皮質機能亢進症の約80%は、脳の下垂体という部分に腫瘍ができたことによるものです。

下垂体は副腎の司令塔の役割を果たしており、下垂体から副腎を刺激するホルモンが出て、副腎からのホルモン分泌が起こります。

この司令塔に腫瘍ができることによって、必要以上に副腎への分泌刺激が起こり、結果として副腎皮質ホルモンが過剰分泌されてしまいます。

副腎の腫瘍によっておこります。

下垂体ではなく、副腎自体に腫瘍ができてホルモンの過剰分泌が起こる場合もあります。
副腎の腫瘍では、副腎皮質からコルチゾールを大量に分泌するものは少なく、アルドステロンやプロジェステロン、エストロジェンなどといった他のホルモンが過剰に分泌されることが多いようです。

ステロイド剤の大量投与で医原性の副腎皮質機能亢進症がおこります。

副腎皮質機能亢進症は医原性にも起こります。
つまり、他の病気の治療のために高用量のステロイド剤を長期間投与していることで、副腎皮質機能亢進症と全く同じ症状を示すようになることがあるのです。
この場合は、医原性副腎皮質機能亢進症と呼ばれます。

猫のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。

猫のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の予防方法について

効果的な予防方法はありません。

副腎皮質機能亢進症は、医原性を除いて腫瘍の発生によっておこる病気です。
腫瘍の発生を制御する効果的な方法は、今のところありません。

長期間のステロイド剤の大量投与は控えましょう。

医原性の副腎皮質機能亢進症の予防方法は、ステロイド剤の投与量をできるだけ減らすことです。

アレルギーや免疫疾患の治療のために高用量のステロイドが必要な場合でも、他のお薬(免疫抑制剤など)への変更や併用によって、ステロイドの使用量を減らすことができる可能性があります。

長期間ステロイド治療を行っている場合は、お薬を減薬できる方法を探してみましょう。

猫のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の治療方法について

外科療法で治療する場合があります。

下垂体腫瘍の場合や副腎腫瘍の場合、外科的な切除による治療を行うことがあります。

副腎腫瘍では、転移がなく、他の組織(周囲の大血管など)に浸潤していなければ外科切除が可能で、治療の第一選択となります。

下垂体の腫瘍切除は非常に専門的で、術前にCT・MRI検査などで切除が可能かどうかの評価も必要となるため、脳外科の対応ができる高度医療施設や大学病院での治療が必要です。

放射線治療は下垂体腫瘍に対して行います。

下垂体腫瘍に対しては、外科療法だけでなく、放射線による治療も可能です。

しかし、放射線治療は複数回に分割して行う必要があり、その度に麻酔を必要とすること、また特殊な設備が必要なことから、一般の病院では実施できません。
やはり高度医療施設や大学病院での治療となります。

多くは内科療法で治療します。

外科療法や放射線療法は腫瘍自体を切除する、あるいは小さくする効果のある治療ですが、麻酔リスクや侵襲の強さ、また治療費も高額となることからから選択されないことも多いのが実際です。

その場合には、内科治療として、副腎皮質のホルモン合成を抑えるお薬を投与します。
犬に比べ、猫ではお薬が効きにくいことがあり、高用量のお薬が必要になることが多いですが、ホルモン合成を抑えすぎると逆に副腎皮質機能低下症となり、元気や食欲がなくなってしまうことがあるため、経過観察には注意が必要です。

副腎皮質機能亢進症の治療がうまくいくと、併発している糖尿病の治療・管理もうまくいくようになります。

医原性の場合はステロイドの投与を減量~中止します。

医原性の副腎皮質機能亢進症の治療は、原因となっているステロイド剤の投与をやめることです。

そのためには、ステロイド剤で治療していた元々の病気の見直しが必要です。
他のお薬への変更が可能であれば、変更しながらステロイド剤を減量し、必要なければ完全に休薬します。

多くの場合は他の治療は必要ありませんが、糖尿病を併発してしまっている場合にはその治療は継続することが必要です。

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