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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の熱中症とは

高温多湿環境下において高体温および脱水によって生じる全身性の疾患です。

熱中症は、高温多湿環境下において高体温および脱水によって生じる全身性の疾患です。動物病院を受診する熱中症の犬の多くは、重症度が高く緊急治療が必要となります。

犬の熱中症の症状とは

高体温に伴い、さまざまな症状が見られます。

熱中症に伴い高体温になりますと、細胞を構成する蛋白質が変性し全身の臓器の機能が障害を受けます。高体温の状態が継続しますと、脱水に加え細胞障害がより一層深刻になり多臓器不全に陥ります。熱中症の臨床症状としましては、粘膜のうっ血および充血、頻脈、パンティングなどが見られます。より重篤な状態になりますと、虚脱、運動失調、嘔吐、下痢、流涎、振戦、意識消失、発作などが認められます。

直腸温を測定して40.5℃以上の高体温であれば熱中症の診断は確定的ですが、来院前に飼い主によって冷却処置がすでに開始されていれば、熱中症であっても体温が上昇しているとは限りません。

各臓器の障害を把握するために血液検査および尿検査を実施します。PCVの上昇や血小板数の減少が検出されます。血液化学検査では、BUN、クレアチニン、ALT、AST、ビリルビン、CPKの上昇や血糖値の低下が認められます。熱中症では播種性血管内凝固(DIC)を起こすことが多いため、血液凝固線溶検査において、PTおよびAPTTの延長などが見られます。

犬の熱中症の原因とは

高温多湿環境が原因となります。

犬の熱中症は、高温多湿環境への長時間の曝露、熱放散能の低下、過度の運動、などが原因となります。条件がそろえば30分程度の運動でも熱中症が起こることがあります。夏期における発生が圧倒的に多いですが、トリミング時のドライヤーの熱風が原因となることもありますので、注意が必要です。熱放散能が低下する動物側の要因としましては、短頭種、肥満、呼吸器疾患(気管虚脱、喉頭麻痺など)や心疾患などの病的状態があります。

犬の熱中症の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

短頭種であるパグ、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、ペキニーズ、シーズーなどが好発犬種として挙げられます。

犬の熱中症の予防方法について

高温多湿環境を避けましょう。

夏期の散歩や運動を避ける、肥満の場合は体重管理をおこなう、などで熱中症の予防につながると言えます。

犬の熱中症の治療方法について

冷却処置とダメージを受けた臓器の機能回復をおこないます。

目標体温を39.4℃として、30~60分かけて冷却処置をおこないます。冷却処置は、スプレーを用いて常温の水を噴霧する、常温の水で犬の体表を濡らす、水で濡らしたタオルで全身を覆った後に扇風機で送風する、などして気化熱を利用して徐々に冷却します。凍った保冷剤をタオルで包み、太い血管の走っている腋窩部および鼠径部にはさんで冷却します。冷水の噴霧、冷水や氷の入った水への浸漬、凍った保冷剤の体表への直接的な接触は禁忌とされています。これらの処置をおこなうと、体表の末梢血管が収縮し、温度の高い結永が体内の各臓器へ循環して深部体温が低下せず、各臓器への障害が促進され逆効果となります。

各臓器における障害の有無および重症度を把握してから治療をおこないます。
冷却処置と同時に酸素を吸入させます。意識レベルに応じて酸素マスク、経鼻カテーテル、気管挿管などを選択します。
脱水に伴う循環血流量の低下に対して輸液をおこないます。熱中症に伴いショックを起こしている場合は、低血圧、循環血流量の減少および心拍出量の低下が重度となるため、多量の急速輸液をおこない、その後、状態に応じて輸液量を減少させます。

予後

熱中症が原因で動物病院を緊急受診する犬の死亡率は約50%で、多くは受診後24時間以内に死亡します。熱中症の予後因子としましては、DIC、PTおよびAPTTの延長、急性腎不全、動物病院受診後24時間におけるクレアチニンの上昇、低血糖、発作、肥満などがあります。熱中症を起こした場合、救命するためには、より早期から冷却処置をおこない正常体温へ回復させ、各臓器のダメージを最小限に留めるように治療をおこなうことが重要です。

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