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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の肛門のうアポクリン腺癌とは

肛門周囲に発生する悪性腫瘍です。

肛門嚢アポクリン腺癌は、肛門周囲に発生する悪性腫瘍で、肛門周囲の悪性腫瘍の17%、皮膚と皮下腫瘍の2%を占めるとされています。

犬の肛門のうアポクリン腺癌の症状とは

肛門周囲の皮下に腫瘍が発生します。

臨床徴候としましては、原発巣の腫瘤が偶発的に認められるだけの症例や原発巣や転移性リンパ節の腫大によるしぶりや排便困難などの異常、高カルシウム血症による多飲多尿などの徴候までさまざまです。トリミング時などでの肛門嚢腫瘤の偶発的発見であることも多いですが、臨床的に問題となるのはリンパ節腫大による排便困難です。

一般的に肛門周囲腺腫・肛門周囲腺癌は自壊をともなう皮膚の腫瘤ですが、肛門嚢アポクリン腺癌は皮下に発生します。多くの場合、細胞診によりこれらを鑑別することは可能であり、肉眼的所見と細胞診によりいずれかを診断し、診断・治療の方向性を検討します。肛門周囲腺癌と肛門嚢アポクリン腺癌を細胞診で区別できない場合は、挙動や治療方針が異なるため、パンチ生検などによる病理組織学的検査で確認します。また、肛門嚢の腫瘍として、良性の腺腫は極めて稀であり、肛門嚢を絞って消失しない硬い腫瘤は肛門嚢アポクリン腺癌である可能性が高いとされています。

肛門嚢アポクリン腺癌は通常片側性ですが、両側性も発生するとされています。腫瘍随伴症候群としての高カルシウム血症が認められますが、これは腫瘍細胞によるPTH-rpの産生と分泌によって引き起こされます。

転移は一般的で、診断時転移率は26~96%と報告されています。腰下リンパ節群や仙骨リンパ節がもっとも多い転移巣であり、遠隔転移では肺、肝臓、脾臓、骨、まれですが心臓、副腎、胃、大網、膵臓、腎臓、膀胱、横隔膜などが挙げられます。

犬の肛門のうアポクリン腺癌の原因とは

肛門嚢のアポクリン腺が腫瘍化します。

肛門嚢アポクリン腺癌は肛門嚢のアポクリン腺が腫瘍化したものですが、発症の原因はわかっていません。

犬の肛門のうアポクリン腺癌の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

アラスカンマラミュート、イングリッシュコッカースパニエル、ジャーマンシェパード、ミニチュアダックスフンドで発生リスクが高いと報告されています。発生の平均年齢は9~11歳ですが、5歳以下での報告もあります。

犬の肛門のうアポクリン腺癌の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

肛門嚢アポクリン腺癌は、予防が難しい疾患と言えます。早期発見、早期治療が重要になります。

犬の肛門のうアポクリン腺癌の治療方法について

外科療法、化学療法、放射線療法をおこないます。

肛門嚢アポクリン腺癌の治療の中心は外科手術となりますが、転移している症例も多いため、化学療法や放射線療法などの使用も必要になることが比較的多く、さまざまなステージごとに治療を検討する必要があります。
根治が期待できない、もしくは積極的治療を希望されない症例では排便困難などに対する緩和治療が重要となります。また、通常リンパ節転移のある症例では根治は期待できないものの、遠隔転移を認めるまでゆっくり進行することが多いため、一般的な転移している悪性腫瘍と皮下うして長期生存が期待されます。このため、長期的な目線での治療計画が必要となります。

予後

肛門嚢アポクリン腺癌は、転移率の高い腫瘍ではありますが、長期生存が期待できる腫瘍でもあり、治療も多岐にわたります。肛門嚢アポクリン腺癌全体では生存期間中央値は386~960日、1年および2年生存率はそれぞれ65%と29%と報告されています。

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