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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の胸腺腫とは

胸腺が腫瘍化して大きくなり呼吸器症状や免疫異常を起こす病気です。

胸腺とは、前胸部に存在する免疫細胞を成熟させ活性化する臓器です。
若齢の動物では発達していますが、成長とともに萎縮して脂肪化し、小さくなっていきます。

胸腺腫とはこの胸腺の上皮細胞が増殖して腫大し、しこりを作る病気です。
症状は主に呼吸器症状ですが、腫瘍化に伴って中の免疫細胞の働きに異常が生じ、免疫異常が起こったり、胸水が溜まったりすることがあります。
しかし中には腫瘍がかなり巨大になるまで無症状の場合もあります。

猫ではそれほど多い病気ではありませんが、高齢の猫では時々見られます。
レントゲン検査などで割と容易に検出することができますので、高齢になったら定期的に健康診断を受けるようにしましょう。

猫の胸腺腫の症状とは

主に呼吸器症状がみられます。

胸腺腫は心臓の頭側にあたる、前縦隔という部分にできます。
前縦隔にしこりができると、気管や肺、食道を圧迫するため、症状として呼吸器症状などが見られます。
主に見られる症状を以下に示します。

・咳
・呼吸が速い
・呼吸困難
・嘔吐
・吐出
・食欲低下
・元気消失
・胸水貯留
・体重減少
・多飲多尿(高カルシウム血症)
・立てないあるいは運動するとすぐに座り込む(重症筋無力症)

腫瘍が小さい内はあまり症状が出ませんが、腫瘍が大きくなるにつれて症状が見られるようになってきます。

しかし、気管や食道への圧迫があまり強くない場合、かなり腫瘍が大きくなってもほとんど症状を示さない症例もたまに見られます。

高カルシウム血症を起こすことがあります。

胸腺種ができることによって、腫瘍細胞からカルシウム代謝に関わる異常なホルモンが分泌され、高カルシウム血症を起こすことがあります。
高カルシウム血症では特徴的な症状として多飲多尿が見られますが、重度になると神経障害や不整脈、腎不全などを起こします。

免疫異常による症状も稀に見られます。

他には免疫細胞の異常から、筋肉に収縮刺激を伝えるアセチルコリンという物質の受容体に対して抗体ができてしまう「重症筋無力症」や「巨大食道症」などが起こる場合もありますが、猫では非常に稀です。
これらの疾患を併発してしまうと立てなくなったり、物を上手く飲みこめなくなったりします。

猫の胸腺腫の原因とは

原因は不明です。

胸腺が腫瘍化する原因は不明です。

腫瘍は臨床的に良性の「非浸潤性胸腺腫」と、周囲の組織に浸潤していき臨床的に悪性挙動をとる「浸潤性胸腺腫」に分かれます。
非浸潤性胸腺腫は被膜に包まれており境界明瞭です。
一方、浸潤性胸腺腫は被膜を超えて周囲組織に浸潤し境界不明瞭で、完全切除が困難となり、再発や胸腔内転移が見られます。

猫の胸腺腫の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。
主に高齢猫に発生しますが、発生自体稀です。

猫の胸腺腫の予防方法について

効果的な予防方法はありません。

腫瘍の発生原因が不明なため、効果的に予防する方法はありません。
定期的な健康診断で早期発見に努めることが大事です。

猫の胸腺腫の治療方法について

外科切除を行います。

非浸潤性胸腺腫はある程度大きくても、他の組織への浸潤がないため切除可能です。

しかし実際には、術前に浸潤性か非浸潤性かを診断することは難しく、CT検査などを行っていたとしても、実際の手術時に初めて浸潤性であることがわかる場合もあります。

切除可能な胸腺腫は手術によって予後良好です。

放射線治療を行う場合もあります。

手術が困難であると予想される場合や手術時に腫瘍を取り切れなかった場合(浸潤性胸腺腫)、あるいは手術を希望しない場合には、放射線治療を行うこともできます。

放射線治療によって腫瘍が縮小すると、気管や食道への圧迫も軽減し、全身状態も良くなることが期待できます。

しかし、放射線治療のためには特殊な設備が必要なため、治療可能な病院は限定されます。
また、治療の度に全身麻酔が必要となり、治療費も高額となります。

対症療法を行います。

腫瘍に伴う高カルシウム血症や重症筋無力症に対しては、それぞれに対応した治療も必要になります。

高カルシウム血症では静脈点滴を行い、カルシウムの排泄を促します。

重症筋無力症では免疫抑制剤やステロイド、アセチルコリンの分解を阻害するお薬などを投与して治療を行います。

しかし、これらの症状は手術によって胸腺腫を切除できれば多くは改善します。

また、胸水が溜まって呼吸が苦しい場合には、胸に針を刺して胸水を抜去し、呼吸状態の改善を図ります。

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