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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫のブドウ膜炎とは

眼のブドウ膜に起こる炎症です。

ブドウ膜とは、眼の中にある血管が豊富な膜です。
あまり馴染みのない名前かもしれませんが、目の色がついている部分(虹彩)もブドウ膜の一部で、他には水晶体の厚みを調整する毛様体、眼の奥の内張をして血液供給を担う脈絡膜がブドウ膜に含まれます。
毛様体と脈絡膜は眼球の中にあるため、外から肉眼で観察することはできません。

このブドウ膜の一部あるいは全体に何らかの刺激が起こり、炎症を起こしてしまった状態をブドウ膜炎といいます。
虹彩や毛様体に起こるブドウ膜炎は前部ブドウ膜炎、脈絡膜に起こるブドウ膜炎は後部ブドウ膜炎と呼ばれます。
また、炎症が起こっている部分ごとに、虹彩炎、毛様体炎、脈絡膜炎と呼ばれることもあります。

ブドウ膜炎は目の病気ですが、猫では感染症や高血圧などの全身疾患が原因で起こることが少なくありません。
そのため、診断のためには血液検査や感染症チェックなど、全身のチェックが必要です。
しかし、中には原因が特定できない特発性のものもあります。

ブドウ膜炎は治療に反応して速やかに改善することもあれば、急激に悪化して緑内障や失明につながることもある少々厄介な病気です。
症状は割とわかりやすいため、目に異常が見られたらできるだけ早く病院を受診しましょう。

猫のブドウ膜炎の症状とは

目に異常が現れます。

ブドウ膜炎を起こすと、以下のような症状がみられます。

・瞳の色が変わる
・左右で瞳孔の大きさが違う(縮瞳する)
・涙目
・目ヤニ
・目の表面(角膜)が白く濁る
・眼の中に膿が溜まる(前房蓄膿)
・眼の中に出血が起こっている(前房出血)
・眼をしょぼしょぼする(眼瞼痙攣)
・まぶしそうにする
・白目が充血する
・視力の低下

ブドウ膜炎では眼の炎症が強く起こるために、眼の痛みや充血などの炎症症状が見られます。
また、ブドウ膜炎の原因となりうる他の眼疾患(角膜炎や角膜潰瘍、白内障)などの症状も併せて認められることが多く、根本的な原因が何かを調べることが重要です。

ブドウ膜炎は片目だけに起こる場合もあれば、両目に起こる場合もあります。
片目だけに起こった場合には、瞳の色の変化や瞳孔の左右差に気づきやすくなります。

日ごろから猫とのスキンシップを大切にし、変化があればすぐに気付いてあげられるようにしたいものです。

猫のブドウ膜炎の原因とは

感染性が原因になります。

猫がかかる様々な感染症がブドウ膜炎の原因になります。
・ウイルス性…猫伝染性腹膜炎、猫エイズウイルス感染症、猫白血病ウイルス感染症、猫ヘルペスウイルス感染症
・細菌性…バルトネラ菌、結核菌
・原虫…トキソプラズマ
・真菌…アスペルギルス、ブラストミセス、ヒストプラズマ、クリプトコックス
・寄生虫…回虫(眼内移行)

眼の異常に続発することがあります。

眼の他の疾患に続発するブドウ膜炎もあります。
眼の外傷や角膜潰瘍、白内障、水晶体脱臼、眼の腫瘍などがその原因として挙げられます。

その他の原因もあります。

感染症以外の全身性の疾患にも続発してブドウ膜炎が起こります。
猫に多いリンパ腫では眼にも病変を作ることがあり、また他の腫瘍の転移が見られることもあります。
他には免疫異常による病気(血小板減少症など)やアレルギー、高齢の猫では高血圧症から発症する場合などがありますが、原因がわからない特発性のブドウ膜炎もあります。

感染症や全身性の疾患が原因の場合、ブドウ膜炎は両側性に発症することが多くなります。

猫のブドウ膜炎の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。

猫のブドウ膜炎の予防方法について

感染症はワクチン接種で予防できます。

全てではありませんが、原因となりうる感染症の中にはワクチン接種によって予防できるものがあります。
定期的に追加接種を行い、感染予防してあげましょう。

また、室内飼育の徹底によっても感染症はある程度予防できます。

猫のブドウ膜炎の治療方法について

消炎治療を行います。

ブドウ膜炎の治療は炎症を抑える治療がメインとなります。
感染性のブドウ膜炎以外ではステロイドの点眼薬や内服薬による治療を行います。
感染がある場合にはステロイドの使用によって悪化する場合があるため、非ステロイド系の消炎剤を点眼します。

また、ブドウ膜の炎症が長期化すると、後遺症として虹彩が水晶体に癒着を起こしてしまうことがあるため、その予防として散瞳剤を点眼し、瞳孔を開いておくことで癒着を予防する治療も併せて行います。

さらに、ブドウ膜炎に続発する緑内障にも注意が必要です。
定期的に眼圧を測りながら治療を行いますが、通常のブドウ膜炎では眼圧が低下するのに対し、途中から眼圧が高くなるなどといった変化が見られる場合には、緑内障の発症が疑われます。
その場合、緑内障による失明を回避するために眼圧を下げる点眼薬も必要になります。

原因疾患の治療が必要です。

ブドウ膜炎自体に対する治療はもちろん必要ですが、原因となっている疾患を突き止め、その治療を行わなければ治療はうまくいきません。

感染症に対してはそれぞれに対応した治療(抗生物質やインターフェロン療法、駆虫薬など)を行います。

水晶体脱臼や進行した白内障が原因の場合は、状況に応じて手術が必要な場合もありますが、眼科手術は専門性の高い手術となるため、治療できる病院を紹介してもらいましょう。

腫瘍が原因の場合は、抗がん剤の投与や眼球摘出術などが必要となる場合もあります。

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