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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の変形性脊椎症とは

背骨が加齢性変化によって硬くなる疾患です。

背骨のことを解剖学用語で脊椎(脊柱)といいます。
脊椎は小さな椎骨という骨がいくつも連なって形成されており、その場所によって頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎と呼ばれます。

それぞれの椎骨には椎孔という穴が開いており、それが連なって並ぶことで脊柱管という一本の管を形成し、脳からつながる脊髄はその中を通って全身に神経を分岐しています。
分岐した神経は椎間孔という穴を通って各器官に伸び、四肢の動きや内臓の機能を正常に保っています。

それぞれの椎骨同士は関節によって連結し、椎骨の椎体という部分の間にはクッションの役割を果たす椎間板が存在することで、背中の動きはしなやかに保たれています。

変形性脊椎症は、加齢性変化によって椎骨と椎骨の間に骨棘という骨の増生が起こり、背骨のしなやかさがなくなり、時には神経を圧迫することで痛みなどを生じる疾患です。

背骨の中でも胸椎や腰椎に起こることが多いですが、痛みを示さず無症状のこともあり、年齢のせいで動きが鈍くなったと思われていることが多い疾患です。
レントゲン検査を行うと明らかになります。

症状が特にない場合には治療は行いませんが、生活環境を変えることで猫が快適に生活できるように工夫してあげることが大切です。
また、神経を圧迫して強い痛みの症状がある場合や神経の機能障害が見られる場合には、投薬や手術を検討することもあります。

猫の変形性脊椎症の症状とは

あまり目立った症状が出ないこともあります。

変形性脊椎症は、日常生活で負担がかかりやすい胸の後ろから腰にかけてみられることが多く、背骨と背骨の間に骨の増生が起こり、橋がかかったようになります。
これを骨棘といいます。

骨棘はほとんどの場合背骨の腹側や側方にでき、脊髄や神経に影響がなければ痛みの症状などは現れません。

しかし、背中の動きは悪くなるため、動きにしなやかさがなくなり、動きが鈍い、ジャンプしなくなる、寝ていることが多くなる、などといった変化が見られます。
中には段差を超えることを嫌がるようになり、トイレの外で排泄してしまうような場合もあります。

脊髄や神経を圧迫する場合には痛みの症状がみられます。

骨棘が脊柱管の中にできて脊髄を圧迫したり、椎間孔の近くにできて神経に刺激を与えたりすると、痛みや麻痺のような症状が現れることがあります。

背中を触ると痛がる、抱き上げた時に痛がって鳴く、足を引きずって歩く、排尿・排便がうまくできなくなる、などといった症状が見られる場合には、できるだけ早く病院を受診しましょう。

猫の変形性脊椎症の原因とは

加齢性変化でおこります。

変形性脊椎症はほとんどが高齢の猫に起こる、加齢性の変化です。
日々の動きの中で負担がかかりやすい部分に少しずつ骨が増生して起こるため、若い猫ではあまり見られません。

生活環境や体型が影響します。

滑りやすい床や、高いところに頻繁に上り下りするような環境では、背骨にも負担がかかりやすく、後に骨棘が形成されやすくなります。

また、重度の肥満体型では歩くだけでも腰にかかる負担が大きく、将来的に変形性脊椎症を発症しやすくなってしまいます。

猫の変形性脊椎症の好発品種について

好発する品種はありません。

どんな猫でも起こる可能性があります。

猫の変形性脊椎症の予防方法について

生活環境を改善しましょう。

関節が健康で筋肉が豊富な若い猫ではあまり負担になることはありませんが、少し筋肉量が落ちるシニア期などには、高いところへの上り下り、特に高所からのジャンプなどは、背骨に強い衝撃を与え大きな負担となります。
年齢に合わせて生活環境を見直し、体に負担がかかるような家具や玩具は取り除くようにしましょう。

肥満予防に努めましょう。

肥満は前述の通り腰に大きな負担をかけます。
肥満状態で変形性脊椎症を発症してしまうと動くこと自体が困難となり、筋肉が落ちることからダイエットも難しく、寝たきりになってしまうなど生活の質を著しく低下させてしまいます。

若いうちから体重管理に気を付け肥満を予防することが、将来的な変形性脊椎症の予防にもなりますし、尿石症や糖尿病など他の疾患の予防にもつながります。

猫の変形性脊椎症の治療方法について

保存療法を行います。

強い痛みの兆候などがない場合には、生活環境を改善して体にかかる負担を軽減し、経過観察を行います、

痛みの兆候が見られる場合には消炎鎮痛剤を使用します。
可能であれば痛みの強い部分にレーザーを当てたり、電気刺激療法などの理学療法を行うことで炎症を抑える治療も併用します。

また神経の保護作用を持つビタミン剤の投与なども行います。

外科手術が必要な場合があります。

脊髄や神経が強く圧迫され、明らかな麻痺がある場合には、外科手術を検討します。

圧迫されている部分を神経学的な検査と脊髄造影検査で特定し、背骨の上の部分を切除したり(背側椎弓切除術)、片側の椎弓という部分を切除する(片側椎弓切除術)手術を行い、圧迫を解除します。

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