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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の眼瞼内反症とは

眼瞼が内側へ反転している状態です。

眼瞼は、上下に分かれた板状の構造で、異物の侵入を防ぎ、角膜を保護し、また眼内に入る光量を調整する働きをしています。また、眼瞼の瞬きは、涙を角膜表面に広げてその乾燥を防ぐとともに、涙を涙点から排出する役割を持っています。
眼瞼は、外側から皮膚、眼輪筋、瞼板、眼瞼結膜によって構成されています。臨床的には一般に外層(皮膚、眼輪筋)と内層(眼瞼、眼瞼結膜)に分けられます。犬では瞼板の発達が悪いため、眼瞼内反症が多く発生します。

眼瞼内反症とは、眼瞼縁の一部または全体が内方へ反転している状態を言います。犬の眼瞼内反症は、先天性と後天性に分類されます。

犬の眼瞼内反症の症状とは

涙や目脂、眼の炎症がみられます。

眼瞼内反症は、下眼瞼に起こることが多いのですが、ときに上下の眼瞼に起こることもあります。

眼瞼内反症の症状は、眼瞼内反の程度や持続期間、角膜の状態(角膜炎の有無)などにより様々です。

一般的な臨床症状としましては。眼球や瞬膜の突出、眼瞼痙攣、表層性角膜炎(眼の違和感や痛みにより、眼をしばしばしたり、前肢で眼をこすろうとする、涙や眼脂が増える、白目が赤くなる、黒目に血管が伸びてくる、黒目が白く濁ってくる)、角膜潰瘍(眼の痛み、流涙、眼脂の増加、結膜の充血など)、ブドウ膜炎(羞明や流涙、眼脂、眼瞼痙攣などの眼の疼痛に由来する症状、毛様充血や縮瞳、角膜浮腫などの眼内の炎症性サイトカインやプロスタグランジンの産生増加に起因する症状)などが見られます。

 

 

犬の眼瞼内反症の原因とは

先天性眼瞼内反症

先天性眼瞼内反症は、眼瞼裂ができあがった後に発症します。これは遺伝性で、コッカースパニエル、秋田犬、ゴールデンレトリバー、シャーペイ、セントバーナード、チャウチャウ、ブルドッグ、ラブラドールレトリバーなどによく見られます。

後天性眼瞼内反症

後天性眼瞼内反症には、外傷の修復に伴う瘢痕形成による瘢痕性眼瞼内反症、前眼部(角膜表面)の病気の痛みに伴う痙攣性眼瞼内反症、加齢に伴う眼輪筋の緊張低下による弛緩性眼瞼内反症などがあります。

犬の眼瞼内反症の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

先天性の眼瞼内反症は、アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエル、秋田犬、ゴールデンレトリバー、シャーペイ、セントバーナード、チャウチャウ、ブルドッグ、ラブラドールレトリバーなどが好発犬種として挙げられます。

犬の眼瞼内反症の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

先天性眼瞼内反症は、遺伝性の疾患であるため予防することは難しいと言えます。早期発見、早期治療が重要となります。

瘢痕性眼瞼内反症の原因となる外傷、および痙攣性眼瞼内反症の原因となる角膜表面の疾患の早期発見、早期治療が眼瞼内反症の予防につながる可能性があります。

弛緩性眼瞼内反症は加齢が原因となるため予防することはできません。

犬の眼瞼内反症の治療方法について

根本的な治療には外科手術が必要になります。

眼瞼内反症の原因や、内反が起きている眼瞼の部位によって治療方法はことなりますが、通常は、外科手術によって眼瞼内反症が起きている余分な眼瞼の皮膚や眼輪筋を部分的に切除して縫合します。

先天性眼瞼内反症の場合、あまりにも動物の年齢が若く、すぐには手術ができないときには、手術が可能な年齢になるまで、点眼液や眼軟膏の点眼を続く、角膜を保護することもあります。

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