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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の膀胱腫瘍とは

膀胱に見られる腫瘍のうち70~80%が移行上皮癌であるとされています。

移行上皮癌の発生率は犬の全腫瘍の2%と報告されていますが、膀胱に発生する腫瘍の中では70~80%を占めるとされ、もっとも遭遇する機会の多い悪性腫瘍です。

犬の膀胱腫瘍の症状とは

膀胱炎や尿石症と類似した症状が見られます。

移行上皮癌の一般的な臨床症状としましては、血尿、頻尿、尿淋滴、排尿困難などが挙げられます。これらの臨床症状は、膀胱炎や尿石症と類似しています。とくに初期の移行上皮癌は臨床症状だけでは他の下部尿路疾患と区別できません。

移行上皮癌は周囲組織に浸潤、播種しやすく、高率に所属リンパ節や肺に転移します。ときに胸部リンパ節や骨、皮膚、腎臓、肝臓などに転移することもあります。移行上皮癌症例のうち、診断時には約20%、死亡時には約60%で転移が認められると報告されています。また、腫瘍の浸潤によって尿管開口部または尿道が閉塞することで予後を著しく悪化させます。
移行上皮癌は浸潤、播種しやすいという特性上、外科的な完全切除が困難なことが多いため、移行上皮癌の対する治療は、外科手術の有無にかかわらず内科療法が適応となることが多いです。

犬の膀胱腫瘍の原因とは

原因は不明です。

移行上皮癌は移行上皮組織に由来する悪性腫瘍ですが、発生の原因は不明です。

犬の膀胱腫瘍の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

移行上皮癌の好発犬種としましては、シェットランドシープドッグ、スコティッシュテリア、ビーグルなどが挙げられます。また、中年齢~高齢の雌に多く発生するとされています。

犬の膀胱腫瘍の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

移行上皮癌には予防方法はありません。早期発見、早期治療をおこないます。泌尿器症状が中年齢以降で認められ、慢性的・間欠的に続く場合や、抗菌薬治療に反応しない、あるいは反応してもすぐに再発するような場合には、注意が必要です。

犬の膀胱腫瘍の治療方法について

内科療法

移行上皮癌の内科療法の主軸となるのは、NSAIDsになります。移行上皮癌の腫瘍細胞がシクロオキシゲナーゼ2を過剰に発現し、プロスタグランジンE2を高産生することが報告されています。プロスタグランジンE2は腫瘍細胞の増殖促進、アポトーシスの抑制、運動能の獲得、血管新生の促進、抗腫瘍免疫の抑制など多岐にわたる作用を発揮して腫瘍の進行に関与します。そのためNSAIDsによりシクロオキシゲナーゼ活性を阻害することで抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。これまでに犬の移行上皮癌に対しては3種類のNSAIDs(ピロキシカム、フィロコキシブ、デラコキシブ)の有効性が報告されています。

移行上皮癌に対する化学療法は様々なプロトコールが検討されています。これまでに化学療法単独、またはNSAIDsと化学療法の併用が報告されていますが、それぞれの薬剤を単独で使用するよりも併用したほうが奏効率、生存期間ともに向上すると考えられています。

外科療法

移行上皮癌に対する外科療法の術式の選択は、発生部位によって異なります。腫瘍が膀胱尖部に限局している場合は膀胱部分摘出術が適応になりますが、術後に膀胱内の別の領域や尿道、腹腔内に腫瘤が再発することが多いとされています。
移行上皮癌の多くは膀胱三角部に発生することが多いため、根治を目的として膀胱・尿道全摘出が選択されることがあります。その場合は尿管を雌であれば膣、雄であれば包皮に吻合することで、結腸や腹壁に吻合するよりも術後の合併症を抑えることができます。
腫瘍の浸潤により尿路が閉塞している症例では、閉塞の解除のために膀胱尿道全摘出や尿管移設術、ステント設置術、膀胱腹壁造瘻術などが適応となります。

予後

犬の移行上皮癌の生存期間中央値は、無治療で約2か月、NSAIDs単独治療で6か月、NSAIDsと化学療法の併用で6~12か月、外科手術(膀胱全摘出)で約12~15か月と報告されています。
尿路感染を認める場合、培養結果に基づいた抗菌薬治療をおこないます。慢性腎臓病のコントロールも予後に大きく影響します。

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