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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の鼻腔内腫瘍とは

鼻腔内にできる腫瘍のことを鼻腔内腫瘍と言います。

鼻腔および鼻腔内において発生する腫瘍は、犬にお腫瘍のうち約1%とされ、そのうち病理学的分類に基づくと鼻腺癌が約50%を占めます。鼻腺癌に続き、扁平上皮癌・未分化癌などの上皮系腫瘍が2/3を占め、残りの1/3は軟骨肉腫などの非上皮系腫瘍です。まれな発生ですが、リンパ腫や肥満細胞腫の発生も報告されています。鼻腔腫瘍には鼻咽頭に発生する腫瘍も含まれますが、犬の場合のほとんどは鼻腔から鼻咽頭への浸潤であり、悪性腫瘍が主であり、良性腫瘍・炎症性ポリープの報告はまれとされています。

ここでは、主に鼻腺癌について記載していきます。

犬の鼻腔内腫瘍の症状とは

鼻出血、鼻汁、くしゃみなどがみられます。

鼻腺癌の最も多く認められる臨床症状としましては、鼻出血、鼻汁、呼吸困難、顔面変形、くしゃみ、逆くしゃみ、眼脂、流涙、食欲不振などが挙げられます。犬は鼻腔腫瘍を有していても食欲が維持されることが多いとされています。
鼻の症状としましては、薄い血液混じりの膿性鼻汁、鼻出血を伴う鼻汁、部位としては片側もしくは片側から両側への変化が典型的であるとされています。抗菌薬への反応は一過性に認める、もしくは反応を認めないことが多いです。

身体検査では左右鼻孔の通気性、視診にて顔面変形や口蓋下垂の有無、歯の状態、下顎リンパ節腫大の有無を確認する必要があります。

犬の鼻腔内腫瘍の原因とは

鼻腔内腫瘍は多くが悪性腫瘍です。

鼻腺癌が約50%を占め、鼻腺癌に続き、扁平上皮癌・未分化癌などの上皮系腫瘍が2/3を占め、残りの1/3は軟骨肉腫となります。

犬の鼻腔内腫瘍の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

多くは中高齢に発生しますが、まれに3~4歳における発生もあります。長頭種に好発するとされ、とくにシェットランドシープドッグやコリーでよくみられます。

犬の鼻腔内腫瘍の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

鼻腔内腫瘍は予防が難しいため、早期発見、早期治療が重要になります。

犬の鼻腔内腫瘍の治療方法について

放射線療法

鼻腔内腫瘍の多くは局所浸潤性であり、発覚した時点では下顎リンパ節や肺転移を認めないことが多いため、治療法としましては、メガボルテージX線を用いた放射線療法単独が推奨されています。外科療法と放射線療法を併用しても予後に差は認めないとされています。化学療法に関しての報告は少なく、単独または放射線療法と併用した際の効果は明らかになっていません。

放射線療法のプロトコールとしましては、最大限の効果を得るためには低線量多分割照射が推奨されていますが、治療効果・副作用・麻酔頻度・年齢などの条件をあわせて検討し、高線量低分割照射を実施されることもあります。

一部のNSAIDs(フィロコキシブなど)は鼻腔内腫瘍に対して抗腫瘍効果を有する可能性が示唆されており、大きな副作用を認めなければ他治療との併用も可能とされています。また、放射線療法後にトセラニブリン酸塩を用いることによって長期にコントロールできる症例も存在します。

予後

放射線療法を実施すると臨床症状は80~90%といった多くの症例で改善するとされています。低線量多分割照射を実施した場合には、生存期間中央値は243~591日、1年生存率は60~68.4%と報告されています。高線量低分割照射を実施した場合には、生存期間中央値は146~512日、1年生存率は25~62.4%と報告されています。総線量が多い多分割照射の方が低分割照射よりも治療反応は優れていますが、急性障害は重度に発現します。

犬の鼻腔内腫瘍は放射線療法実施後に一度治療に反応した後も、鼻腔に限局し明らかな遠隔転移を認めずに半年~1年といった期間を経過する場合が多いとされています。そのような症例はとくに鼻腺癌で多く、局所再発時に放射線の再照射を検討することがあります。

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