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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の脳腫瘍とは

髄膜腫やリンパ腫が発生することがあります。

猫の脳腫瘍の発生はあまり多くありませんが、髄膜腫やリンパ腫などの腫瘍が発生することがあります。
最も多く発生するのは髄膜腫で、猫の原発性脳腫瘍の約58%が髄膜腫、次いで多いのがリンパ腫とされています。

脳は硬い頭蓋骨で覆われているため、腫瘍ができると腫瘍自体が良性であっても悪性であっても、脳の正常な組織が圧迫されることによって脳機能に障害が生じ、様々な神経症状を示します。

頭蓋骨があるために脳はレントゲンや超音波で評価をすることは難しく、症状や神経学的な検査などから脳の病変が疑われた場合、確定診断のためにはCT検査やMRI検査、脳脊髄液検査など、麻酔をかけて行う検査が必要になります。

多くの場合は大学病院などへの受診が必要になり、治療には外科切除や放射線治療、抗がん剤治療などの選択肢があります。
最も多い髄膜腫は、外科切除が可能であれば比較的予後が良いとされています。

猫の脳腫瘍の症状とは

様々な神経症状を示します。

脳腫瘍が発生した時の症状は神経症状として現れます。
認められる症状としては、以下の様なものがあります。

・食欲不振または異常な食欲
・元気消失
・痙攣発作
・くるくる回る(旋回)
・まっすぐ歩けない
・攻撃的になる(性格の変化)
・四肢のどこかに麻痺が起こる
・視覚障害(失明)
・異常な震え
・意識が朦朧とする
・昏睡状態

脳は頭蓋骨という硬い殻で保護されているため、その存在スペースは限定されています。
そこに腫瘍が占拠することによって正常な脳が圧迫され、上記のような症状を示します。
どの様な症状が出るかは、病変が脳のどの部分にできているかによって変わり、進行に伴って徐々に症状は重篤化していきます。

上記のような神経症状はてんかんや脳炎、感染性の疾患などでも見られることがあるため、正確な診断のためにはCT検査やMRI検査、脳脊髄液の検査などが必要になります。

猫の脳腫瘍の原因とは

脳原発の腫瘍ができます。

脳にできる原発性腫瘍には、脳を構成する様々な細胞から発生する腫瘍が含まれ、髄膜腫、神経膠腫、脈絡叢乳頭腫、上衣腫、髄芽腫、嗅神経芽細胞腫などがあります。
この中で最も多くみられるのは髄膜腫です。
これらの腫瘍の発生原因は不明です。

二次性腫瘍ができる場合もあります。

鼻腔内腫瘍は大きくなることで脳に直接的に浸潤して神経障害を起こすことがあります。

血液の腫瘍であるリンパ腫の脳への浸潤や、血管肉腫、肺腫瘍、乳腺腫瘍などの脳転移も見られることがあります。

猫の脳腫瘍の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

髄膜腫はメインクーンやシャムで好発する傾向があり、日本ではアメリカンショートヘアでの発症頻度が高いとされています。

猫の脳腫瘍の予防方法について

予防方法はありません。

脳腫瘍の発生を予防する方法はありません。

猫の脳腫瘍の治療方法について

可能であれば外科手術を行います。

検査の結果、腫瘍の場所が切除可能な部位であった場合には腫瘍の切除を行います。
すべて取り切れない場合でも、脳への圧迫を解除する目的で腫瘍の一部を切除して腫瘍の容積を減少させる(減容積)手術を行うこともあります。

猫の脳腫瘍の中で最も多く見られる髄膜腫は脳を覆う髄膜から発生する腫瘍で、犬とは異なり脳の組織への浸潤は見られないため、手術が可能な場所に発生している場合には外科手術単独での治療でも予後が良好とされています。

放射線療法を実施します。

外科手術が困難な場合(腫瘍の場所が深部にある、腫瘍が非常に大きい、呼吸中枢など生命維持に関わる部分の近くに腫瘍があるなど)や、外科手術を希望しない場合には、放射線治療を行うという選択肢があります。

また、外科手術で腫瘍を取り除いた後や、減容積手術の術部周囲に残った腫瘍細胞に放射線治療を併用して実施する場合もあります。

このような脳の外科手術や放射線治療は一般病院では実施できません。
大学などの高度な医療設備が整った施設への紹介受診が必要です。

リンパ腫などでは抗がん剤治療を行います。

脳に血液を供給する血管には、血液脳関門というバリア機能があり、有害な薬物などが脳に到達しにくい構造を作っています。
そのため、抗がん剤による治療を行っても脳に十分に薬剤が到達しないため、脳腫瘍には抗がん剤治療を第一選択とすることは多くありませんが、血液脳関門を通過できる薬剤が使用されることがあります。

しかし、リンパ腫に限っては、脳だけでなく全身性の治療が必要であるために抗がん剤治療が推奨されます。
リンパ腫では脳の実質に腫瘍細胞が浸潤することによって血液脳関門が破壊され、薬剤が脳に到達しやすくなっていると考えられ、脳の病変への効果も期待できます。

緩和治療を行います。

脳腫瘍の発生によって発作が頻繁に起こると、発作のたびに脳にも大きな負担が蓄積し、時には発作から回復できずに命を落としてしまうこともあります。

治療を行うまでの期間や、積極的な治療を行わない場合には、抗てんかん薬などでけいれん発作を抑える治療を行います。

また、腫瘍が存在することによって脳浮腫などが起こり、頭蓋内圧が亢進してしまうと意識障害や昏睡状態に陥ってしまうため、浸透圧利尿剤というお薬で脳の浮腫を改善する治療を行います。

ステロイド剤は脳の血管の浮腫や炎症を抑え、脳脊髄液の産生を抑える効果があることから頻繁に使用されますが、高用量で長期間使用すると副作用も問題になるため、注意が必要です。

食事や排泄の補助が必要になることがあります。

症状が進行して起立や歩行が困難となったり、自力排泄が困難となった場合には、食事の介助や排尿・排便の補助が必要になります。

また、寝たきりになってしまった場合には褥瘡ができるのを予防するために、低反発マットを敷く、定期的に寝返りをさせてあげるなどといった介護が必要です。

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