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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の脳血管障害とは

脳の血管に出血や閉塞が起こります。

脳には脳底部から太い血管が入り、そこから分岐した血管が脳全体に血液を供給しています。
脳の血管に障害が起こると、脳の部分的あるいは全体の虚血が起こり、神経症状や脳機能障害が見られるようになります。

脳血管障害にはいくつか種類があります。
・脳出血…脳の細い血管が破れることで出血が起こる
     出血によって脳が圧迫されて脳機能に障害が起こる
・くも膜下出血…脳の血管の瘤ができ(動脈瘤)そこが破裂する
        脳表面を覆うくも膜の下で出血が起こり、血液で脳が圧迫・障害される
・脳梗塞…脳の血管に血栓などが詰まり血管をふさいでしまう
     血栓が閉塞した部分より先は虚血によって壊死してしまう

これらの脳血管障害によって虚血となった脳の範囲により、現れる症状やその重症度が変わります。

猫でのこうした脳血管障害はあまり多くはありませんが、発生した場合には広範囲の脳の壊死や浮腫によって致命的となることもあるため、迅速な診断と治療が重要です。

猫の脳血管障害の症状とは

神経症状が急性に現れます。

脳に出血や梗塞が起こると、神経症状が現れます。
主な症状は以下の通りです。

・突然の嘔吐
・痙攣
・歩行困難
・麻痺
・無目的な歩行
・旋回(同じところでグルグル回る)
・抑うつ状態
・昏睡状態
・測定過大(大げさに足を上げて歩く)
・企図振戦(動作の初めにグラグラ体が揺れる) など

脳血管障害が起こった場合は、これらの症状は急性に現れます。
虚血になった脳の範囲が大きければ大きいほど症状は重度になり、特に出血の場合は出血が持続すると脳圧が上がり命の危険があります。

これらの症状が見られた場合には、すぐに病院へ連れて行きましょう。

猫の脳血管障害の原因とは

基礎疾患の影響で発生します。

高血圧や血液凝固異常、血液の粘稠度が過剰に高くなる疾患などが存在すると、脳の血管で出血や梗塞が起こることがあります。
このような状態になりやすい疾患には、以下の様なものがあります。

・慢性腎臓病
・副腎皮質機能亢進症
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症
・肝不全
・感染性疾患(敗血症や寄生虫感染)
・腫瘍

その他の要因で脳が虚血になることがあります。

頭部の外傷や全身麻酔の影響、他の原因で心停止したことによる低酸素脳症の結果として脳が虚血になることもあります。

猫の脳血管障害の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。

猫の脳血管障害の予防方法について

基礎疾患の治療をしっかりと行うことでリスクを回避できます。

上に挙げたような基礎疾患がある場合は、脳血管障害を起こすリスクが高いと考えられます。
基礎疾患を治療し悪化させないことも、脳出血や梗塞を予防することにつながります。

猫の脳血管障害の治療方法について

脳圧を下げる治療を行います。

脳血管障害が生じると脳が浮腫を起こし、腫れることによって脳組織のダメージがさらに悪化します。
そのため浸透圧利尿剤(マンニトールなど)を点滴して脳の浮腫を取り除く治療を行います。

出血が疑われる場合には止血剤の投与を行い、出血が持続している場合には手術が必要になることもあります。

また、脳が炎症によって腫れるのを抑えるためにステロイド剤なども使用されることがあります。

基礎疾患の治療を行います。

高血圧などが存在すると、一度出血が止まっても再出血の危険があります。

基礎疾患がもとになって脳血管障害が起こったと考えられる場合には、脳圧を下げる緊急治療を行いながら、基礎疾患に対する治療も必要です。

後遺症へのケアが必要になることがあります。

脳血管障害の血管、体の機能に障害が残り、自分で立てない、寝返りができない、排泄ができないといった状態に陥ることがあります。
その場合は褥瘡を予防するために低反発マットを敷いたり、定期的に寝返りをさせてあげる、排泄を補助するなどといった飼い主さんの介護が必要となります。

理学療法で機能回復することがあります。

脳血管障害によっておこった麻痺などの障害に対しては、マッサージや屈伸運動をさせてあげるなどといった理学療法を行うことで機能回復が見られることがあります。
回復までには数週間から数カ月という長い期間を要することもありますが、あきらめずに根気よく継続しましょう。

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