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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の血管肉腫とは

血管内皮に由来する悪性腫瘍です。

犬の血管肉腫は血管内皮に由来する非上皮性悪性腫瘍です。

犬の血管肉腫の症状とは

多くの場合は脾臓に発生します。

犬の血管肉腫の原発部位としましては、脾臓が最も多いですが、右心耳、皮膚、皮下、肝臓、腎臓、骨、膀胱など様々な臓器にも発生します。また、転移率が高く、脾臓の血管肉腫の場合、約80%の症例で肝臓に転移し、好発転移部位は肝臓、大網、肺であるとされています。ただし、初診時転移率は5%未満という報告があります。

脾臓や肝臓の血管肉腫は腹腔内出血、右心耳の血管肉腫は血様の心嚢水貯留もしくは心タンポナーデによって発見されることが多いです。また、血管肉腫は播種性血管内凝固(DIC)症候群を併発しやすく、診断時に血小板減少を認める症例は75~97%、播種性血管内凝固の基準を満たす症例は47~50%に及びます。

犬の血管肉腫の原因とは

血管内皮に由来する非上皮性細胞の腫瘍です。

血管肉腫の針生検では非上皮性細胞が採取されることもありますが、血液希釈の影響が多く、細胞診での確定診断は困難なことが多いとされています。また、腹腔内出血や腫瘍内出血を起こした症例では、針生検で再出血させる可能性があるため、避けた方が無難であるとされています。また、脾臓、肝臓、右心耳の血管肉腫を疑う病変に対してのコア生検は禁忌とされ、皮膚や皮下の血管肉腫のパンチ生検時にも出血が止まりづらいこともあり、切除可能な大きさの腫瘤であれば、腫瘤を外科的切除したほうが安全です。

病理組織学的検査では、赤血球を容れた管腔構造を形成することが特徴的な所見です。腫瘍細胞は紡錘形か類円形の多形成を示します。

犬の血管肉腫の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

血管肉腫の好発犬種としましては、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパード、ボクサーなどが挙げられます。

犬の血管肉腫の予防方法について

予防方法はありません。

血管肉腫の予防はできないため、早期発見・早期治療が重要になります。

犬の血管肉腫の治療方法について

外科療法

血管肉腫に対する治療の第1選択は外科的切除になります。外科的切除に先立ち、出血性ショック、貧血、播種性血管内凝固などに対する治療が必須になります。
脾臓摘出時は医原性の破裂を引き起こさないように、腹腔内から慎重に摘出する必要があります。脾臓摘出後は、閉腹前に肝臓や大網での播種性病変、転移性病変の有無を確認し、腫瘤が確認された場合は切除生検を実施します。
術後の不整脈が24%の症例で認められたとの報告がありますが、不整脈の多くは24~48時間以内に改善します。

播種性血管内凝固に対する治療では、原因疾患の除去が必須であり、これが不可能な場合はどれだけ輸血をし、薬剤を投与しても根本的な改善にはつながりません。そのため、まずは血管肉腫の原発巣の外科的切除が可能かを考慮します。

薬物療法

血管肉腫は転移率が高いため、術後の化学療法が適応となります。ドキソルビシン主体の治療が適応となります。ドキソルビシン単独、VAC(ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド)、AC(ドキソルビシン、シクロホスファミド)が報告されていますが、いずれも治療効果に大きな差は無いとされています。

脾臓血管肉腫は脾臓摘出を実施しても、多くの症例で、肝臓への多発性転移や腹膜播種を引き起こします。転移巣からの出血が認められる場合の緩和治療としてステロイド剤が使用される場合があります。

予後

脾臓の血管肉腫は脾臓摘出のみでの生存期間中央値は1~3か月程度で1年生存率は10%未満と予後不良と言えます。肝臓原発の血管肉腫の予後も同様に悪いです。外科的切除後に化学療法を実施すると生存期間中央値が5~6か月延長します。心臓の血管肉腫における生存期間中央値は外科的切除で1~3か月、ドキソルビシン単独の化学療法で4か月とされています。

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