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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の殺鼠剤中毒とは

殺鼠剤に含まれる抗凝固成分によって主に出血傾向症状を示します。

殺鼠剤にはいくつかのタイプがありますが、猫で起こる殺鼠剤中毒のほとんどはクマリン系化合物に代表される抗凝固剤(ワーファリン等)を主成分にするものの誤食によっておこります。

抗凝固性殺鼠剤は肝臓で行われる血液凝固成分の合成経路を抑制し、凝固因子が不足することによって出血傾向が起こります。

殺鼠剤の毒性は使用されている主要成分の種類とその摂取量、単回摂取か反復摂取かによって異なりますが、出血傾向による脳や心膜腔内など重要組織での出血は命に関わることもあるため、誤食が起こらないように努めることが最も重要です。

猫の殺鼠剤中毒の症状とは

出血傾向がみられます。

殺鼠剤を誤って食べてしまった場合、初期症状としては元気消失、食欲低下、挙動不審などが見られます。

殺鼠剤成分が吸収されて出血傾向が現れると、
・皮下出血
・歯肉出血
・関節内出血(関節が腫れる、歩き方がおかしい)
・消化管出血(黒色便や血便)
・肺出血
・胸腔内あるいは腹腔内出血
・心膜腔内出血
・脳出血
など体の様々な部分において出血が見られることがあります。

肺や胸腔内の出血では呼吸状態の悪化が見られ、心膜腔内出血では心タンポナーデという心臓が拡張できない状態に陥りショック状態を起こし、脳出血では意識障害など神経症状がみられます。

重要臓器での出血は少量であっても直ちに命に関わることがあり、それ以外でも慢性的に出血が続くと貧血に陥ってしまいます。

猫の殺鼠剤中毒の原因とは

殺鼠剤の誤食によっておこります。

猫の殺鼠剤中毒は、殺鼠剤を誤って摂取してしまい、その主要成分である抗凝固成分が吸収されることによっておこります。

殺鼠剤に含まれる抗凝固成分には、ビタミンK依存性に肝臓で作られる凝固因子の合成を阻害する作用があり、その結果として出血傾向が起こります。

猫の殺鼠剤中毒の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。

猫の殺鼠剤中毒の予防方法について

殺鼠剤に接触しないように注意することが重要です。

殺鼠剤を仕掛ける場合には、絶対に猫が接触できない場所に設置する、あるいは殺鼠剤を仕掛けた部屋には猫を出入りさせないように徹底する必要があります。

家庭内で殺鼠剤を使用していなくても、外に出てしまう猫の場合は屋外で殺鼠剤を摂取してしまう可能性があるため、室内飼育を徹底することが猫を危険から守ることにつながります。

猫の殺鼠剤中毒の治療方法について

摂取後間もない場合は催吐処置を行います。

殺鼠剤を誤食した現場を目撃した場合や、状況的に誤食したことが確実で長時間経過していない場合(1時間以内程度)には催吐処置を行い、速やかに体内から殺鼠剤を除去します。

しかし実際には誤食に気付いた頃には症状が発現していることが多いため、以下の様な処置が必要です。

出血傾向がすでにみられる場合にはビタミンKの投与や輸血を行います。

重度の出血傾向により出血性ショックや貧血が見られる場合には、輸血を検討します。
しかし輸血にはドナーが必要になるため、同居の猫がいる場合などは協力してもらわなければなりません。
すぐに輸血ができない場合には血液代用剤などでショック状態の治療を行うこともありますが、血液代用剤は出血傾向を助長してしまうため、慎重な投与が必要です。

それと同時に、ビタミンK製剤を投与して出血傾向を治療します。
ビタミンK製剤には注射薬と経口薬の両方がありますが、可能な場合は経口投与します。
飲ませることができないほど状態が悪い場合には注射で投与しますが、皮下注射や筋肉内注射では注射部位に出血による血腫が形成されることがあり、静脈内投与では急速に投与するとアナフィラキシーショックを起こすことがあるため、点滴に添加してゆっくりと投与する必要があります。

必要に応じて対症療法を行います。

胸腔内の出血によって呼吸状態が悪い場合や、心膜腔内の出血で心臓が圧迫されている場合には、胸腔や心膜腔に針を刺して血液を吸引抜去する処置が必要になります。

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