ウィズぺティ
初めての方へ会員登録ログイン買い物かご
TOP > 猫の病気辞典 > 猫の卵巣遺残症候群
Youtube 病気辞典
Youtube 病気辞典

執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の卵巣遺残症候群とは

避妊手術をしているにもかかわらず発情兆候が見られます。

猫の避妊手術は一般的には子宮卵巣摘出術か卵巣摘出術が行われます。
そのため、避妊手術後には発情兆候は見られなくなるのが通常ですが、ごく稀に避妊手術後であるにもかかわらず発情兆候が見られる場合があります。

このような猫では、お腹の中にホルモンを分泌する機能を持った卵巣が残っていることがあり、卵巣遺残症候群と呼ばれます。

残っている卵巣を摘出することで発情兆候は消失します。

猫の卵巣遺残症候群の症状とは

避妊手術をしているのに発情がある。

猫には犬のように発情出血はありませんが、発情兆候として割とわかりやすい行動の変化が現れます。

・足ふみ行動
・独特な大きな鳴き声
・人にすり寄ってくる行動
・しつこく甘える
・床でくねくねと体を擦り付ける
・お尻を高く持ち上げた姿勢をとる
・オスの様にスプレー状におしっこをまく
・食欲が低下する

避妊手術を行っていれば卵巣から分泌される発情を起こすホルモン(エストロジェン)が分泌されないため、このような行動はなくなるはずです。

しかし、稀に避妊手術後であるにも拘らず、発情期(主に春~夏)にこのような兆候が見られることがあります。
この場合に卵巣遺残症候群を疑って検査を行います。

猫の卵巣遺残症候群の原因とは

多くは卵巣の取り残しです。

卵巣遺残症候群の原因の多くは、避妊手術時の卵巣の取り残しと考えられています。
手術時に卵巣を完全に取り切れていない場合や、卵巣の組織を一部腹腔内に落下させてしまったためにそこから卵巣組織が再生して機能的になったケースなどが多いと考えられています。

奇形によって正常な位置に卵巣が存在しない場合もあります。

稀ですが、避妊手術時に子宮や卵巣に奇形が見られることがあります。
2股に分かれて左右に伸びる子宮角が片方しかない場合や、片方の子宮角が非常に短いケースなどでは、本来子宮角の先端に連続するように存在する卵巣が見当たらないことがあります。
その場合、少し離れた場所で見つかることが多いのですが、中には見つからないまま手術を終えてしまう場合もあります。

そうした中には、実際に片方しか卵巣がない場合もあれば、実は小さな卵巣が正常な位置とは異なる場所(腸間膜や大網の中など)に隠れているケースもあります。

副卵巣が存在していた可能性もあります。

副卵巣とは、卵巣から頭側に伸びる卵巣堤索という靭帯の中に存在していることがある小さな卵巣で、通常みられる卵巣の他にもう一つ非常に小さな卵巣が存在する状態です。
通常は存在しませんが、稀にこの副卵巣を持つ猫がいます。

それ以外の場所にも正常な卵巣とは別に小さな卵巣組織が存在することがあり、過剰卵巣や多卵巣と呼ばれます。

これらは正常な卵巣とは分離して存在しており、正常な卵巣が摘出されることで機能的になるのではないかと考えられています。

猫の卵巣遺残症候群の好発品種について

好発する品種はありません。

好発品種は特にありません。

猫の卵巣遺残症候群の予防方法について

飼い主さんが予防としてできる方法はありません。

卵巣遺残症候群は獣医師の手術手技や猫自身が生まれ持った奇形などによっておこりますので、飼い主さんが予防としてできる方法はありません。

猫の卵巣遺残症候群の治療方法について

遺残した卵巣を摘出します。

明らかに発情徴候があり、ホルモン検査でも卵巣の遺残が疑われる場合、治療する方法は再度手術を行い、残っている卵巣を摘出することです。

しかし、遺残している卵巣が右にあるのか、左にあるのか、正常な卵巣の位置にあるのかどうかは、実際にはお腹を開けてみなければわからず、腹腔内をしっかり見なければ遺残した卵巣が見つからないことがあり、通常の避妊手術に比べるとお腹の傷はかなり大きくなります。
お腹を大きく切るのはかわいそうですが、そうしなければ再び取り残してしまうことがあります。

ホルモンを抑える治療を行います。

手術を希望しない場合、ホルモン注射によって発情を抑制する方法があります。

発情抑制剤は発情が来るたびに注射で投与しますが、長期間発情抑制剤を投与する場合は副作用(子宮断端蓄膿症や乳腺腫瘍)に注意が必要です。

ナンバーサプリのウィズメディカ
ページ先頭へ SSL グローバルサインのサイトシール