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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の停留睾丸とは

睾丸が腹腔内に停留する疾患です。

犬の睾丸は出生後に腹腔から陰嚢に下降してきます。睾丸の下降が完了せず、腹腔内または鼠径部皮下に留まっている状態を停留睾丸(潜在精巣)といいます。

ビーグルの場合、生後約1か月で陰嚢内への睾丸の下降が完了します。大型犬の場合、さらに時間がかかり、約3~4か月かかると言われています。個体差もありますが、一般的には生後半年までに鼠径輪の部分的閉鎖が起こるため、生後半年以降に陰嚢内に左右の睾丸が確認出来ない場合、停留睾丸と確定します。

停留睾丸では、腹腔内の睾丸が腫瘍化したり、生殖不能になるなどの症状がみられます。

犬の停留睾丸の症状とは

生殖不能、睾丸の腫瘍化などの症状がみられます。

睾丸でつくりだされる精子は熱に弱く、正常な睾丸は体温から精子を保護するため体外にある陰嚢に収納されています。停留睾丸では睾丸が腹腔内もしくは、鼠経部の皮下にあり、体温により機能不全におちいった精子が生殖不能を引き起こします。

睾丸が両側とも停留している場合、犬は生殖をおこなうことができませんが、片方が陰嚢内にある場合はその睾丸の造精能力に問題が無ければ生殖をおこなえます。停留睾丸は、腫瘍化さえ起こらなければ生殖能力に関する症状以外には特に見られません。

停留睾丸の発生率については、片側:両側は9:1、右側:左側は2:1、鼠径部:腹腔内は2.5:1、という報告があります。犬においては、右側のみの片側性鼠径部停留睾丸が最も多いということになります。

腹腔内に停留した睾丸は、体温による機能不全により、中高齢になった犬において腫瘍化しやすいとされています。精巣の腫瘍には間質細胞腫、精上皮腫、セルトリ細胞腫などの種類があり、性ホルモンを分泌することにより癌そのものが転移、増殖する以外に皮膚障害や、雌性化(女性化)などの内分泌的な機能障害を引き起こします。

犬の停留睾丸の原因とは

遺伝的要因が原因です。

犬の停留睾丸は、常染色体の異常による劣性の遺伝性疾患であると言われています。
睾丸を陰嚢内へ牽引する精巣導帯が未発達であること、鼠径管の閉鎖、などが原因であると考えられています。また、アンドロゲンやミューラー管抑制物質など精巣自身で産生されるホルモンなどの分泌不足も原因として考えられています。

犬の停留睾丸の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

ミニチュアサイズ、トイサイズなどの小型犬で発生が多い傾向があります。停留睾丸の発生率は、純血種の犬では1~11%、雑種犬では1.7%とされています。
他の動物での停留睾丸の発生率は0.1%~0.5%程度とされていることから、犬は停留睾丸が起こりやすい動物と言えます。

犬の停留睾丸の予防方法について

予防方法はありません。

先天性の遺伝性疾患であり、予防法はありません。

停滞精巣が原因となり引き起こされる精巣腫瘍は、腹腔内に停留している精巣を摘出することで予防できます。加えて、両側の精巣を去勢することで犬の中高齢に発生する前立腺肥大、肛門周囲腺種などの疾患の予防にも繋がると言えます。

犬の停留睾丸の治療方法について

停滞睾丸の外科的な切除をおこないます。

停留睾丸には、内科的治療法は無いとされています。例えば、雄性ホルモンの投与も無効であるとされています。そのため、外科的に摘出することが第一選択となります。

鼠径部にある停滞睾丸では全身麻酔の上で、皮膚の切開を行って睾丸を摘出します。腹腔内にある停滞睾丸では全身麻酔の上、開腹し、睾丸を探し摘出します。鼠径部に近い部位に停留睾丸が存在する場合は比較的簡単に発見出来ますが、腎臓付近に停留睾丸が存在する場合は発見が困難です。

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