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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の門脈体循環シャントとは

門脈に肝臓を迂回してしまう血管が形成される疾患です。

門脈体循環シャントとは、消化管から肝臓に通じている血管である門脈に、肝臓を迂回してしまう血管が形成されている疾患です。消化管から送られてくる栄養や毒素が肝臓で代謝されないことによって栄養障害や中毒を引き起こします。生まれつきのものは先天性門脈体循環シャントと呼ばれ、犬に多い先天性疾患の一つです。また、門脈圧亢進症に続発することもあり、これは後天性門脈体循環シャントと呼ばれます。

犬の門脈体循環シャントの症状とは

神経症状、消化器症状、発育不良などの症状が見られます。

肝臓には大きく分けると3つの働きがあります。有害物質を分解して解毒、蛋白質の合成や栄養の貯蔵、
消化液である胆汁の合成と分泌、になります。

門脈体循環シャントでは、消化管で発生するアンモニアやエンドトキシンなどの毒性物質が除去されなくなってしまうため、神経系、消化器系、泌尿器系の症状が見られるようになります。ふらつき、旋回、発作などの神経症状、嘔吐、流涎などの消化器症状、尿石症などの泌尿器症状が多く認められます。

栄養も肝臓を迂回してしまうため、肝臓が小さくなってしまう小肝症が多く見られます。先天性門脈体循環シャントの場合、1歳未満の若齢で発症するため発育不良が見られます。後天性門脈体循環シャントの場合、成長してから発症するため、体重は重いが痩せ気味であったり、腹水貯留を伴うことが多いです。後天性門脈体循環シャントは、先天性門脈体循環シャントと比較すると神経症状は少ないとされています。

犬の門脈体循環シャントの原因とは

門脈体循環シャントには先天性と後天性があります

先天性の門脈体循環シャントでは、胎児期の血管が正常に退縮しないことが原因となりシャント血管が形成されると考えられています。
後天性の門脈体循環シャントでは、微小管異形成などの門脈圧亢進症に続発して発生するもの、慢性肝炎に続発して発生するものがあります。

門脈体循環シャントの種類

先天性門脈体循環シャントには、肝臓の中をシャント血管が通る肝内性、肝臓の外をシャント血管が通る肝外性があります。肝内性は先天性門脈体循環シャントの約10%ですが、重篤な症状が見られる傾向があります。

犬の門脈体循環シャントの好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

肝外性の先天性門脈体循環シャントの好発犬種としては、ヨークシャー・テリア、マルチーズ、シー・ズー、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフント、パピヨン、ミニチュア・シュナウザーなどの小型犬が挙げられます。
肝内性の先天性門脈体循環シャントの好発犬種としては、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、アイリッシュ・ウルフハウンド、バーニーズ・マウンテンドッグなどの大型犬が挙げられます。
後天性門脈体循環シャントは、慢性肝炎の好発犬種であるコッカースパニエル、ラブラドール・レトリーバー、ドーベルマンなどが注意が必要です。

犬の門脈体循環シャントの予防方法について

主に早期発見・早期治療をおこないます。

特に先天性門脈体循環シャントは、早期発見・早期治療をおこないます。

犬の門脈体循環シャントの治療方法について

門脈体循環シャントの種類によって外科的治療、内科的治療が選択されます。

先天性門脈体循環シャントの場合、外科的なシャント血管の結紮が第一選択となります。先天性門脈体循環シャントの場合、外科的治療の方が内科的治療よりも生存期間が長いという報告があります。ただし、肝内性の先天性門脈体循環シャントの外科的治療は、肝外性門脈体循環シャントよりも非常に難易度が高いとされています。

後天性門脈体循環シャントの場合、基本的には外科的治療は適応されず、内科的治療が選択されます。

門脈体循環シャントの内科的治療は、肝性脳症のコントロールと発作のコントロールが重要になります。
肝性脳症が見られる場合、血液中に含まれるアンモニアを除去する必要があります。糖の1種であるラクツロースの経口投与、注腸投与をおこない、アンモニア産生菌を減少させることが出来ると言われています。
外科的治療の後に発作が見られることや、急性の肝性脳症の際に発作が見られることがあります。抗てんかん薬の内服薬や注射薬を使って治療します。

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