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獣医師インタビュー vol. 032
犬の関節の病気について
愛犬が負担なく歩けることの大切さ
葛野 獣医師
かどのペットクリニック | 葛野 莉奈 獣医師
お散歩が好きなわんちゃんも、おうちでのんびりするのが好きなわんちゃんもそれぞれいると思います。
動いて遊んだり、歩いたりできることは体力や運動器官が健康だからこそできることです。
その子のもともとの運動能力や、関節などの状態によって、好む運動の程度は変わってくると思いますが、本人の負担なく動けるようにするためには、運動器の健康維持をする必要があります。
-運動ができなくなる原因としてはどんなことが考えられますか?
若いうちは元気に動き回っている子も、加齢とともに動くことを好まなくなったり、痛みや違和感から運動しなくなってしまう場合があります。
その原因はどのようなことが考えられるでしょうか。

「変形性関節症」
加齢に伴い、関節軟骨のすり減りなどの原因で関節部分に損傷が起こり、慢性的に痛みを生じる疾患です。
高齢になればなるほど、発症する確率は増加し、治療やケアが必要となります。
痛みから、運動をすることを嫌がる子が多いです。

「膝蓋骨脱臼」
小型犬に多い疾患で、膝蓋骨と呼ばれるお皿が本来あるべき場所から外れやすくなったり、外れっぱなしになってしまう状態です。
先天的に外れやすい子もいますが、肥満などの原因により、お家に迎えた際は問題がなくても大きくなって膝蓋骨脱臼を起こす子もいます。
膝蓋骨が外れてすぐに戻る場合、あまり違和感を感じない場合もありますが、慢性的に外れっぱなしであったり、戻る際に骨同士がこすれる等で痛みや違和感を生じるようになる場合もあります。
どんな年齢でもなる可能性があります。

「筋力の低下」
加齢に伴い筋力が低下することで、体を起こし、運動する、一定の姿勢を保つなどの行動が難しくなることが多いです。
例えば、高齢になってくると特に後肢の筋力などは低下し、排泄の際に腰を落とす行動が難しくなるケースなども生じます。
高齢の子たちは生理的に筋力が低下するものですが、高齢にならなくても、一定期間、何かの病気などでずっと安静にしているなどの運動制限をしていた場合も筋力が低下することはあります。

「体力の低下」
加齢や持病により、体力が低下することによって、運動を好まなくなることも考えられるでしょう。
かかりつけの先生に体力が低下しているので無理に運動をさせないようにと言われる場合もあると思いますし、以前より運動を好まなくなって、何か異常が起こっていることに気づく場合もあり得ます。
体力が低下した状態で無理やり運動をさせることは、体に余計に負担をかける可能性が高いです。
-永く元気に運動するためにどうしたらよいでしょうか?
飼い主さんの理想として、きっと高齢になっても元気に動いてくれる愛犬たちを見たいと気持ちがあるのではないでしょうか。
その理想に近づくべく、お家で気を付けたいことがいくつかあります。

「肥満の予防」
肥満になることで、それだけ関節や筋肉は体重の重さという負荷に耐えて運動をする必要が生じます。
加齢とともに関節の機能や筋力は生理的にも低下せざるを得ません。
昨日の低下した状態で、より負荷のかかった体を動かし、維持することはわんちゃんたちにとってとても負担になります。
関節に疾患がある場合などは、よりダメージを与えることになってしまいます。

「健康な関節の維持」
運動をするにあたり、関節は特に大切な役割を果たします。
関節の軟骨がすり減っていたり、骨が変形していたりすると動くたびに痛みや違和感が生じて、動けなくなったり、動くことを嫌がるケースが多いです。
加齢とともに関節液や関節軟骨の機能は低下するため、サプリメントや、関節にとって良い成分をご飯などで補ってあげることで、若々しい関節を保つことは大切です。

「筋力の維持」
若いうちから運動する習慣をつけて、体に筋肉をつけることはとても大切です。
高齢になるにつれて筋力は生理的に低下していく傾向があります。
歳を重ねながらも、その子の体力に応じて無理なく運動を続け、筋力を維持できるよう心がけましょう。
高齢になってくると、持病により運動制限をされる場合もあると思います。
運動といっても息切れをするほど走ったり、疲れる動きのみが運動ではありません。
その際は負担になりすぎないような短時間の散歩などの運動を、かかりつけの先生と相談しながらその子にとっての無理のない程度を飼い主さんも学んだうえで、行わせてあげられると良いでしょう。
-関節や運動器の異常が起こっているサインは?
しゃべることのできないわんちゃんにとって、体に痛みが起こったり違和感が生じている時に発するSOSをいち早く飼い主さんたちが理解し、気づいてあげることはとても大切です。
ではどのようなサインが起こるのでしょうか?

「動くのを嫌がる」
今まではお散歩が好きだった子が、お散歩に行きたがらなくなったり、外に出てすぐに戻りたがるなどの行動が見られる場合、何らかの理由で動きたくないと思っているのかもしれません。
触ると痛がるなどの明らかな痛みや違和感が原因でなくても、肥満などにより思うように動きづらい、すぐに疲れるなどとわんちゃんが感じている場合、病的な原因でなくても、動くのを嫌がることもあります。
病的な原因として、運動器系の異常だけでなく、呼吸のしづらさや、心臓の異常などでも運動をしたがらないことがあります。
体重が増加したり、肉付きが良くなったという自覚がある場合、肥満により運動を嫌がっている可能性が高いですが、思い当たる原因が飼い主さん的に無い場合、原因究明のために、早めに受診をした方が良いでしょう。

「歩き方などの変化」
痛みや違和感を感じることで、「は行(はこう)」と呼ばれる、びっこをひく状態や、「ケンケン」をするような状態になります。
たとえば、股関節の痛みなどで、足を着地させて、その足に体重をかける際に痛みが生じるため、変化がある足をつく時間が短くなったり、すぐに挙げてしまったりという行動をとる場合があります。
他には、膝蓋骨脱臼の場合も、膝蓋骨が外れている際には違和感を感じるため、ずっとその足を挙げた状態で歩くそぶりが見られることが多く、膝蓋骨が元の位置に戻れば、いつものように歩くというケースが見られます。
歩き方だけでなく、全身性の変形性関節症の場合は、痛みや違和感により、しっぽをずっと下げた姿勢や、背中を丸めて何かをかばうような姿勢を取る場合もあります。
常にしている姿勢であれば、受診の際にどのような姿勢なのか説明しやすいですが、一時的な歩行異常だと、診察室では緊張しているため、強い痛みでなければ紛らわされてしまい、正常な歩き方に戻ってしまうこともあります。
歩き方などは、異常を感じた際は動画を撮影しておくと、受診の際にかかりつけの先生とも共有しやすいのでお勧めです。

「触られることに対して攻撃的になるなど性格の変化」
変形性関節症などで、慢性的に体に痛みがある場合、抱き上げられたり触られる際にも痛みが生じるため、嫌がるわんちゃんもいます。
加齢に伴う症状の場合、若いころは抱っこや飼い主さんとの触れ合いが好きだったのに、年をとって、怒りっぽくなったり、飼い主さんのそばに寄らずに離れた場所で過ごすことが多くなったなどの性格の変化が見られることもあります。
ハイシニアで認知症なども伴う場合は、脳の変化による思考や性格の変化の可能性が高いですが、そうではない場合、痛みなどの違和感の可能性が高いです。
その場合、原因を究明したうえで、痛み止めなども併せて負担を取り除いてあげる必要があるでしょう。
-加齢に伴い起こる変形性関節症とはどのような病気でしょうか
関節とは曲げる、伸ばす、回すなど様々な動きをするために欠かせない体の構造です。
その際に骨同士がぶつかって傷つくことのないようなクッション材となっているのが、関節液や関節軟骨です。
加齢とともに変化する関節液や関節軟骨により、骨同士がぶつかって、骨自体が変形をし、関節を動かす際に、さらにぶつかるため痛みや違和感を生じさせます。
高齢になればなるほど発症する確率は高くなるとされており、発症する部位は、膝や股関節など運動する際に使用する関節のみではなく、股関節や椎骨と呼ばれる首や背骨、尾の部分の連結する関節の部分でも起こる可能性はあります。
痛みや違和感により、痛がって鳴くなどの直接的な行動でのアピールもあり得ますが、行動が若いころよりも低下したり、触られることを嫌がるようになるなどの性格の変化などで飼い主さんも気づく場合もあります。
-膝蓋骨脱臼がわかったら?
膝蓋骨脱臼は、触診及びレントゲン撮影で確認することが可能です。
ジャンプをした後に片足で歩いたり飛び跳ねる行動が見られたり、ジャンプをした後に足を痛がるそぶりが見られたら、もしかしたら膝蓋骨が外れているタイミングがあるのかもしれません。
その際は違和感を感じられる動きを撮影して、受診の際に見せたうえで、前述のような診察をしてもらう流れになるでしょう。
膝蓋骨脱臼の程度に応じて、内科的治療で治療を進めるのか、外科的な治療で進めるのかという治療方針をたてることになります。
症状の程度に応じて、お家での管理の仕方も変わってきます。
かかりつけの先生とよく相談されることをお勧めします。
-関節の病気になったらどのような治療が必要でしょうか?
基本的には痛みが起こった場合に、頓服などで鎮痛剤を服用し、痛みによる負担を除去する治療になります。
サプリメントなどで関節液やコラーゲンなどの関節軟骨のサポートをすると同時に、種類によってはMSMと呼ばれる炎症を沈めるサポートをしてくれるとされる成分が含まれるものなどを使用しながら維持していくケースが多いです。
膝蓋骨脱臼など症状の程度によっては、外科的な処置が必要とされる場合もあります。
-関節の異常がわかった場合、お家で飼い主さんが気をつけるべきことは?
炎症がひどく起こっている場合、その際に無理に運動させることで、炎症をより悪化させてしまったり、筋肉や関節の状態を悪化させる場合があります。
かかりつけの先生に安静を指示された場合は、きちんと運動させずに安静にさせましょう。
運動の再開は、受診の上、症状の改善を確認してもらい、かかりつけの先生から許可をいただいてからにすることをお勧めします。
無理に高い所へ飛び乗る習慣などがある場合は、そういった行動をとれないよう、家具の配置などを考慮して、生活スタイルを見直すことも大切です。
そして何より大切なのが体重を肥満にしないよう維持することです。
お家で体重をこまめに測ることも大切ですが、関節の状態を診てもらいながら、肉付き具合などを確認して、適切な体形をキープできるよう、より配慮して生活していけると安心でしょう。
-犬の関節の健康維持を目的としたサプリメント「毎日散歩 グルコサミン&イミダゾールペプチド」のどのような成分に効果が期待できるでしょうか。
加齢とともに変化するとされている関節液や関節軟骨の成分となるⅡ型コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチン、プロテオグリカンが含まれています。
これらは加齢とともに機能が低下する可能性が高まる関節液や関節軟骨を補ってくれることが期待できます。
それぞれ期待できる役割があり、例えばコンドロイチンは保水性や潤滑弾力性を与えてくれることを期待でき、プロテオグリカンは高い保水性を持っています。
これらは機能が低下し、よりダメージを受けやすくなった関節や軟骨を守ってくれる役割が期待できます。
関節に大きく関係する成分であるコンドロイチンやグルコサミン、コラーゲンなどももともと体内に存在する成分ですが、加齢とともに量が低下をするため、関節がダメージを受けやすくなり、機能が低下すると言われています。
これらを補ってあげることで、より健康な状態で関節を保つことができるでしょう。
また、加齢とともに起こりうるのが体力及び筋力の低下です。
イミダゾールペプチドはアミノ酸の成分で、健康的な筋肉を維持するサポートをしてくれると言われています。
アミノ酸の中には疲労の緩和が期待できると言われるものもありますが、特にこのイミダゾールペプチドは、渡り鳥が長距離移動する際に体内で活用されるといわれているアミノ酸です。
高齢になるにつれて、疲れやすくなったり、筋力の低下で運動を好まなくなる傾向がありますが、健康なうちから摂取することで若々しい体力のある体作りをするサポートをしてくれるのではないでしょうか。
ビタミンDはカルシウムを骨に吸着させる働きで、骨を丈夫にしたり、より健康な骨や関節を構成するサポートが期待できると言われます。
関節は骨と軟骨により成っていて、よりよい関節であるために、構成する骨もが健康であることは大切です。
以上の成分が毎日散歩に含まれていますが、健康なうちから摂取することで、より若々しい関節や筋肉などを維持するサポートをしてくれるでしょう。
-ありがとうございます。最後に、愛犬家の皆様へ向けてのメッセージをお願いいたします。
痛みや違和感はわんちゃんの日常生活にとってとても大きな負担となります。
しゃべることのできないわんちゃんたちの痛みや違和感のサインをいち早く感じ取ってあげられるのは飼い主さんたちしかいません。
普段の歩き方や行動のパターンを把握し、いつまでも元気に楽しく歩けるよう、
健康なうちから関節や筋肉に良い成分が配合されている「毎日散歩 グルコサミン&イミダゾールペプチド」を摂りながら、
高齢になっても一緒にお散歩を楽しめるとよいですね。
獣医師かどのペットクリニック
葛野 莉奈 獣医師
※以上の記事は、獣医師個人の感想であり効果・効能を示すものではありません。
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