犬や猫を飼うことで、自然と規則正しい生活をするようになります。特に犬は、朝夕の散歩が必須です。1日2回、外の空気を吸うことは、犬だけでなく人のリフレッシュが期待できます。散歩で朝の日を浴びることも、心身の健康に効果があると思われます。
猫についても、朝早く起きて餌を与えたりトイレ掃除をしたりすることが多く、自然と早起きをするようになる方が多いようです。
犬や猫ではありませんが、こんな研究報告があります。やる気を失い朝早く起きられず留年が続いていた大学生が、リスを飼うことで早起きができるようになり、ついには卒業論文を執筆して卒業できたというもの。犬や猫をはじめ、ペットの存在は人間を規則正しい生活に導いてくれるのですね。
規則正しい生活を続けることは、健康にも影響があると考えることが自然です。軽度の風邪や胃腸炎なら、犬や猫などペットを飼育している人の方が、回復が早いというデータがあります。
たとえ夜飲みに誘われても、「朝は散歩がある」と思うと深酒もしなくなり、早く帰るようになるかもしれません。
さらに心疾患で入院した患者の退院1年後の生存率は、「ペットを飼っていない人」が71.8%だったのに対し、「ペットを飼っている人」が94.3%という結果でした。ペットを飼っている人の方が、生存率が高いという結果がでています。
子どもにもペットはよい影響を与えます。触れ合うだけでも心地よさを感じることができるため、情操教育にもつながるといえるでしょう。学校から帰ると、犬や猫が喜んでくれることは、子どもたちの安心感や喜びにつながるはずです。
欧米において、子どもが犬に本を読み聞かせる活動「R.E.A.D(リード)プログラム」が行われています。日本でも最近図書館などで開催されています。「犬に本を読む?」とびっくりするかもしれません。
なぜこのようなことをするのでしょう?声を出して本を読むこと、「音読」が苦手な子どもがいます。間違えたら友達に笑われるのではないか、うまく読めないのではないかと緊張してしまうのです。
犬は、子どもの読み聞かせに静かに耳を傾け、ときにはリラックスするそうです。たとえ読み方を間違えても決して笑ったり冷やかしたりしません。子どもはだんだんと自信をつけ、堂々と声を出せるようになるのです。
高齢の方では犬や猫などペットと触れ合うことで動悸が落ち着く、血圧が安定していくということが期待できます。
何より生活にメリハリができ、孤独感が解消されることもメリットです。犬の散歩を通じて、近所の人と交流が生まれることもあるでしょう。犬と一緒にいるだけで話しかけられるなど、新たなコミュニケーションが生まれることもあります。餌やおもちゃを買いに出る必要があるため、家に引きこもることも少なくなります。
ある高齢者施設にいたアルツハイマー型認知症女性は、記憶障害や睡眠障害などがありました。ほとんどしゃべらず、部屋の畳をむしっていたそうです。
ある日小型犬を同居させたことで徐々に昔のことを思い出し、職員や周囲の人に話をするようになりました。3か月一緒に過ごしていると、いきいきとした姿になっていったといいます。
犬や猫がいると、「今日はこんなことをした、こんなことができた」など家族や夫婦間での会話も増える傾向があります。たとえ険悪なムードになっていても、犬や猫のしぐさを見て思わず笑ってしまったということもあるのではないでしょうか?
どんなおもちゃを買うか話したり、散歩に一緒に行ったりと、家族や夫婦のコミュニケーションが増えていきます。子どもが思春期になって家族とあまり話をしなくなっても、犬や猫のことなら会話が弾むということもよくあることです。
「オキシトシン」というホルモンをご存知でしょうか。幸せホルモンとも呼ばれ、心を落ち着かせてリラックスさせたり、安心感や信頼感を上昇させたりする効果があります。
分娩の際子宮を収縮させたり乳汁の分泌をふやしたりするほか、母子のきずなにも重要な役割をすることが古くから知られていました。
最近の研究では親子だけでなく、夫婦や恋人同士、人と犬や猫などペットとの触れ合いでもオキシトシンが分泌されることが解明されています。
犬と見つめ合うとき、そしてマッサージをして人も犬や猫も幸せな気持ちで満たされているというとき、気持ちが穏やかになりませんか?このときオキシトシンが分泌されています。
犬や猫を飼うことは、餌代や治療費などもかかり、小まめなお世話も必要です。忙しくて世話が大変ということもあるでしょう。しかしそれらの手間を上回る、喜びや幸せを犬や猫たちがもたらしてくれます。一緒に過ごす日々を、大切にしていきたいですね。