家や屋外で過ごしていて、大きな災害を受け、身を寄せる場所を失ったとき、まずは指定避難所に行くことを考えるべきですね。
そのときペットが一緒なら、避難所に行っていいのかどうか迷いますが、これをどう判断すればいいでしょうか。
ここでふたつの言葉に混乱する人が多いのですが、ペットとの避難は
・同行避難
・同伴避難
と分けられています。
国は、災害時にはペットと同行避難をするよう求めています。
自宅が被害を受けた人が、この言葉に従いペットを連れて避難所に向ったところ、ペットを入れてはいけないと言われて混乱した前例が多くあります。
同行避難するようにと言われているのに?
実はこの『同行避難』はペットを避難所に同行していいのですよ、という意味ではないのです。
ペットが一緒に避難所に入れると判断する基準としては『同伴避難』が認められているかどうかを確認することになります。
人と同じ避難所に入ることが許可されているのは、同伴避難のほうなのです。
同行避難というのは、ペットを置き去りにせず、またペットのために危険な場所にとどまらず、人とペットが安全な場所に避難することを求めるものです。
避難所に必ず入れるというものではありません。
普段から、近隣の避難所指定されている施設をチェックし、自治体などにペットとの同伴避難はできるか確認しておいたほうがいいでしょう。
それでも緊急事態において避難所として開放された学校などの公的施設では、その現場責任者の判断に委ねられるケースも多数です。
複数の避難所指定施設を、あらかじめ調べておきましょう。
ペットと一緒に避難となり、では犬や猫を小脇に抱えて家を飛び出せばいいかというと、それでは長期化する可能性が高い避難生活に、ペットが生きていけるだけの必需品を持ち出すことができません。
優先順位を決めて、人と同じようにペットにも非常食や避難グッズを準備しておきましょう。
どのように順位を決めるかということですが、それがなければ犬や猫が生きのびられないもの、命に関わるものを優先して準備します。
・ペットフード・水(一週間分)
当日か翌日には人間の食料や水は届く可能性が高いのですが、ペットフードやペットに回す水までは、すぐに手に入りません。
最低一週間分を備えておきましょう。
・療法食
災害時には、無事な他地方から善意で送られてくるものが順次配給となります。
一般のフードが食べられないペットに配慮したものがいち早く送られてくることはありません。
特にアレルギーや病気で療法食を食べているペットには、いつものフードを余分にストックして災害非常食としておきましょう。
・薬
病気で通院し、何か処方されている薬がある場合には、それを非常袋にいつも入れておくほうがいいかもしれませんね。
もしくは飼い主さんがいつもすぐ持ち出せる場所に置くか、持ち歩くか、とにかく急にやめることができない薬は必ず持ち出しましょう。
・首輪とリードは予備を入れておく
いつも使っているものとは違う首輪とリードを、非常袋に入れておきましょう。
リードは伸縮リードやロングリードは避けてください。
移動するときに犬をすぐ近くに引き寄せておける長さのものを選び、普段使いにしている首輪やリードとは別にして、すぐ犬につけられる状態で備えましょう。
・迷子札
首輪を普段から装着するようにして、迷子札をつけておきましょう。
迷子札にはペットの名前と飼い主さんの名前、自宅や携帯番号をしっかり記載するのを忘れないでください。
災害に遭ったとき、迷子になってしまうペットが多数います。
危険に巻き込まれたり、野生化したり、多くのペットが過去の災害で不幸な目に遭っていることを教訓に、迷子にさせないこと、迷子になったときにすぐ連絡をもらえるようにすること、このために迷子札を身に着けさせましょう。
・ペットの写真や身体情報を記入
ペットとはぐれたときに、誰かが保護してくれる可能性はありますね。
そのときに自分のペットかどうかを確認する、確認してもらうために、ペットの写真や身体情報を記録しておいて、それを持ち歩くようにしましょう。
体高や体長、体重などを記録しておくと、日常の健康管理にも役立ちます。
・ペットシーツ
・食器
・タオルや毛布
・トイレ本体か代用品(猫の場合は砂も)
・汚れものを捨てる袋
普段使っている日用品は多めに準備して、非常時ペット用品としましょう。
もし避難所に入れる場合には、ペットがいない人と同室になる可能性が高く、体臭や排泄物で迷惑をかけることも考えられます。
犬や猫の体をよく拭き、排泄物を入れて封をして捨てられる袋を準備しておきましょう。
いつ災害に見舞われて、ペットと一緒に避難所生活を送ることになるか予想はできませんね。
自宅では思いのままに暮らしているペットですが、多くの人と同居となる避難所生活では、不特定多数の人に迷惑をかけないよう躾けておくことが大切です。
キャリーバッグでの移動や、その中でおとなしくする練習をしておきましょう。
トイレの躾は基本です。
そして飼い主さんがしっかり体調管理をして、健康に変化があればすぐ分かるように、毎日観察しましょう。
非日常に陥ったときに、緊急の健康障害を引き起こした場合、すぐ対処できるようペットの医療健康面をしっかりケアしておくことが必要です。
災害など無縁であることを祈りつつ、いざというときには、大切な家族とスムーズに避難して、一緒に命を守れるようにしてください。