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獣医師
齋藤厚子
どんよりジメジメ梅雨の時期、湿気と共にやってくるペットの体調不良

お散歩で足がびちゃびちゃ、そんな時は指間炎に要注意!

雨の日は何となく外に出るのが億劫になってしまい、ペットのお散歩も軽めで済ませることが多くなりがちですね。

そんな中でもペット用のおしゃれなレインコートを着せて、雨の日ならではのお散歩を楽しんでいる姿を見かけるようになりました。
ペット用品も様々な分野で開発が進み、レイングッズも便利でかわいいものが数多く販売されることになったおかげで、雨の日のストレスもかなり軽減されてきています。
雨が降っていてもお散歩は欠かさない、というのがこれからのスタンダードになっていくような気がします。

雨の日のお散歩の後に気を付けたいのが「指間炎」です。
指間炎は肉球の間の皮膚に炎症が起こり、痒みや赤み、ひどい場合には痛みを生じる疾患です。

様々な原因で起こりますが、雨の日のお散歩の後に足先が湿ったままでいると雑菌が繁殖しやすい状態となり、皮膚表面で増殖した細菌や真菌などが原因で指間炎が起こることがあります。
また、湿って蒸れた脚を気にして自分でしきりに舐めることでも起こります。

発症の予防には足先を清潔で乾いた状態に保つことが重要ですので、お散歩の後には水気をよく拭きとり、泥などで汚れている場合には部分的に洗った後で冷風のドライヤーでよく乾かしましょう。
パッドの間に長い毛が生えている場合は毛を短くカットすると管理しやすくなります。

指間炎を起こしてしまった場合には一度病院を受診し、他の原因(外傷や腫瘍、寄生虫など)がないかどうかを調べてもらったうえで、消炎剤や必要に応じて抗生物質の内服薬・外用薬、薬用シャンプーでの洗浄などを行い治療します。

せっかくのお散歩が病気の原因となってしまわないようにしたいものですね。

湿気が多いと増える外耳炎

湿度が高い時期には外耳炎も増えがちです。
特に垂れ耳の犬や耳の中に毛が生えている犬種、耳の形が特殊な猫、過去に何度も外耳炎を繰り返している犬猫で発症・悪化しやすいため、こまめに耳のチェックをしてあげましょう。

外耳炎になると耳を痒がってしきりに掻いたり、しつこく頭を振るようになります。
耳の中には黄色~茶色いベタベタした汚れが付着するようになり、臭いにおいを発する場合もあります。

放っておくと自分で掻いて搔き壊してしまったり、頭を激しく掻いたり振ったりすることで耳の皮膚と軟骨の間がはがれて「耳血腫」などに発展することがあります。
また耳道内での炎症が耳の奥方向に波及すると中耳炎や内耳炎などにもなりかねません。
悪化する前に早めに対処することが重要です。

外耳炎の予防に大切なのはやはりこまめな耳のチェックです。
汚れや異常がなければ特に耳掃除などをする必要はありませんが、耳の入り口付近に耳垢が付着している場合には、コットンにイヤークリーナーなどを含ませて優しく拭きとりましょう。

耳の奥まで汚れが詰まっているという場合や耳が赤く腫れている場合、耳から悪臭がするなどという場合には、一度病院で診てもらう必要があります。

特にマラセチアという真菌の一種は湿った環境を好み、増殖すると強い痒みや独特のにおいを発するようになり、治療には専用のお薬(点耳薬など)が必要ですので、速やかに病院を受診しましょう。

食中毒にご用心、湿気はフードにも影響します。

多湿な環境は食品を劣化させ、「食中毒」を招くことがあります。
人が食べる食品ももちろんですが、犬や猫が食べるフードやおやつ類にも同様に注意が必要なことを忘れないようにしましょう。

湿気の多い環境で保管されているフードには、知らず知らずのうちにカビが発生していることがあります。
フードのにおいや見た目に変化がないかどうか気を付けるとともに、フードの管理方法について今一度見直してみましょう。

まずドライフードについてですが、大袋の方が値段は割安ですが、開封してから食べきるまでの期間が長いと、フードにカビが発生したり酸化してしまうことがあります。
そのようなフードの劣化に気付かずに与え続けていると、食欲不振、吐き気、下痢などの消化器症状を示したり、肝障害など内臓機能に障害が起こることもあるのです。
ドライフードは開封してから長くても1か月以内には食べきれるサイズのものを選択し、シンク回りなどは避けて湿気の少ない場所に保管しましょう。

同様に注意が必要なのがおやつです。
複数の種類のおやつをローテーションで使用している家庭もあると思いますが、封を切ってからどれくらい経過しているのかわかるようにしておき、賞味期限内であっても開封して時間がたったものは処分するようにしましょう。

また、盲点となりやすいのが水です。
水も朝汲んで一日置きっぱなしにしていると雑菌が繁殖してしまい、お腹を壊す原因になりかねません。
飲み水はこまめに交換し、常に新鮮な水が飲めるようにしてあげましょう。

ペットの一番の楽しみの時間であるご飯やおやつの時間が病気の引き金になってしまうことはあってはなりませんが、万が一食中毒を疑うような症状(吐き気や下痢、腹痛、発熱)が現れた場合は、様子を見ずにできるだけ早く病院を受診しましょう。
高齢動物や子犬・子猫は予備体力が少ないので特に注意が必要です。

皮膚疾患が悪化しやすい時期です。

皮膚の疾患は生活環境の変化に影響されやすい傾向があり、膿皮症やマラセチア性皮膚炎などは特に高温多湿な環境で悪化しやすい傾向があります。

これらの皮膚炎は、皮膚表面の細菌や真菌の増殖によっておこる疾患のため、湿度の高い環境下では菌の増殖を助長して悪化しやすいのです。
ブラッシングしながら皮膚の状態をこまめにチェックし、状態に応じてシャンプーの頻度や投薬内容を変更するとともに、エアコンや除湿器を上手に活用して生活環境を程よい状態に保てるように工夫しましょう。

またアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の場合は、カビなどに反応して悪化することもあります。
カビが繁殖しにくいような環境を作るために湿度管理ももちろんですが、こまめに部屋の掃除を行い細かな埃や塵などを取り除くように心がけましょう。

運動不足にご注意を!

雨が降っても毎日お散歩は欠かさないというご家庭も多いかとは思いますが、雨の程度によってはお散歩をためらってしまったり時間が短くなってしまうことがあるのではないでしょうか?

特に体の大きい中~大型犬や、もともとアジリティーなどをしていて運動量の多い犬では、雨の日が続くと思い切り走ることができず運動不足になりがちです。
運動不足は体重増加につながる可能性がある他、思い切り遊べないストレスから精神的な面でも悪影響を与えることがあります。

自宅の中でもできる遊びやスキンシップを通してペットたちのストレスを少しでも緩和してあげるようにしましょう。

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